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憧れの先輩の“最後”を追った思い出のコース 4位浮上の千田萌花「桃子さんのプレーを思い出しながら…」

実はレギュラーツアーでは、これまで一度も長野県から勝者が生まれていない。“不毛の地”から千田萌花がその第一人者を目指す。

所属 ALBA Net編集部
小高 拓 / Hiromu Odaka

配信日時:2025年12月11日 17時45分

千田萌花が逆転で98期生ナンバー1を目指す
千田萌花が逆転で98期生ナンバー1を目指す (撮影:福田文平)

<JLPGA新人戦 加賀電子カップ 2日目◇11日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6525ヤード・パー72>

6度目の挑戦でプロテスト合格を果たした22歳の千田萌花。首位と5打差の8位タイから出たこの日、4バーディ・1ボギーの「69」で回り、トータル4アンダー。首位との差は5打と変わらないが4位タイに浮上。あす最終日は逆転で98期生ナンバー1を目指す。

【写真】個性出てます 千田萌花が選んだ今年の漢字は?

「後半ボギーにした15番以外はいい流れで、チャンスを決められ、グリーンを外してもパーを拾える1日でした」。15番の2打目と17番の2メートル弱のバーディパットは、迷いながら打ってしまいミスを招いたことは悔いが残るが、目標の60台で回ることをクリアした。

開催コースのグレートアイランド倶楽部には思い出がある。千田が小さい頃から憧れを抱く上田桃子が“ラス前”を飾った舞台である。

上田と同じコーチに教わりたいと、高校時代に押し掛けるように辻村明志コーチの門を叩いた。上田の背中を見て多くの影響を受けてきたが、昨年限りでツアーから撤退。SNSで公表してから、初めての試合が昨年の「伊藤園レディス」。上田の最後の雄姿を見ようとグレートアイランド倶楽部に駆け付け、上田の組について18ホール回り、1打1打を目に焼き付けた。

「桃子さんこういうプレーしていたなと思い出しながら、この2日間回っています。桃子さんと重なるようなプレー?ないです。おこがましすぎですよ(笑)。でもずっと頭の中にありました」と憧れの先輩のことを思い出しながらプロ初戦を戦っている。

6度目の挑戦でプロテストに合格を果たしたが、プロゴルファーを目指す分岐点となったのは高校進学だった。長野県出身の千田は地元の高校に通うことも考えたが、東京の代々木高校を選んだ。「地元の高校だったらプロになっていなかったかも…」。

長野県のゴルフ事情は少し特別だ。「クリスマスぐらいから3月までゴルフ場はクローズですからね。学生時代は困っていました」と冬場にはゴルフができない。「毎年、ゴルフを辞める小さい子が多くて、ゴルフ友達はいなかったです」。冬の環境も手伝ってゴルフから離れるジュニアも少なくないという。

プロの世界に目を向けても、日本女子プロゴルフ協会に登録されている長野県出身は、千田がちょうど10人目。国内女子ツアーではこれまで優勝者を出していない。10県ある優勝者ゼロ人の1つである。シード経験者も三井美智子(2003、04年)のみだ。

千田は関東に拠点を移して腕を磨いたが地元愛もある。「長野県出身者でツアー優勝がいないのは知りませんでした。プロゴルファーもあまり出ていない地域だと思われていますが、自分がプロになって試合に出て活躍して、長野代表でがんばりたい」。来年からツアーデビューとなるが長野勢ツアー初優勝も大きな目標となる。

プロとして第一歩となる今大会。首位との差は小さくはないが「行けるところまでいって、優勝争いしたいです」と力を込める。上田桃子のようなガッツあふれるプレーで首位を追う。(文・小高拓)

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