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「希望になる1勝」 止まらない涙の裏にあった原英莉花“苦悩の1年”

「希望になる1勝」 止まらない涙の裏にあった原英莉花“苦悩の1年”

配信日時:2021年11月21日 17時15分

そこからは腰をケアしながら国内ツアーを戦い、8月には「AIG女子オープン」(全英女子)にも出場。しかし納得いくような結果が出ず、「もう勝てないかもしれない」という考えすら頭をよぎった。一時は症状がおさまった腰痛も、寒くなったことで「昨日、きょうもしんどかった」と再び不安材料に。「スポーツをするうえで一番大事。もしかしたらゴルフができなくなる怖さもあります。そこと付き合いながらやらないといけない。体が資本」ということを痛感した。

この愛媛での優勝争いも、そんな苦しみを象徴するような戦いになる。前半はなかなかチャンスも訪れず、一時は4人がトップに並ぶ大混戦に。しかし、そのなかでも「いつかバーディが来ると信じて、楽しくプレーしよう」と自信を持って勝機を待ち続けた。そして17番パー5で、ビッグプレーが生まれる。

ここでのティショットは右に曲がり、池ポチャを覚悟したほどだったが、「奇跡だと思って歩測したら、あと一歩(で池に入っていた)」とギリギリ残って、最悪の事態を回避。すると残り214ヤードから7番ウッドを振り抜き2オンに成功し、8メートルのイーグルパットを決めた。これで2打のリードを奪うと、何度も力強く右こぶしを振り下ろした。「2パットでバーディをと思ったら入ってくれた。うれしかったですね」。まさに勝負を分けるホールとなった。

「長かった」と感じさせた通算4勝目は、「長かった一日」を乗り越えてつかみとったもの。感想を聞かれた時には「幸せです。ゴルフを続けてよかった」という言葉しか出てこないほどの万感の勝利だった。そして今回のできごとについて原は「来年への希望になる1勝」と表現する。暗中模索のすえ、ようやく光が差し込んできた、そんな気分だったのではないか。来週は1年前に通算3勝目を手にしたメジャー大会を迎える。「勝つ気で挑みたいなと思います」。失いかけた自信を取り戻し、今は連覇への意気込みを力強く宣言できる。(文・間宮輝憲)

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