だが、先月29日に悲しいできごとがあった。それは「アース・モンダミンカップ」の最終日だった。スタート前に姉から母が危篤との連絡があり、亡くなったことをホールアウト後に確認したという。コロナ禍の影響で入院中は面会もできなかった。死に際に「会いに行けなかったことを後悔しています。自分のゴルフだけは後悔しないように、自分を信じてプレーしようと決めていました。それで結果がついてくればいい」と、ホールアウト後に涙をこらえながら話した。月並みな言葉だが、天国の母がやさしく見守っていてくれたのだろう。母と二人でプレーしていたのに違いない。
ゴルフはメンタルが大きく影響するスポーツだ。ミスに怒りを持てば余計なリキミが生じ、バーディの連続に浮かれてしまえば緩みが出る。「今日は目の前に一打に集中できた」という若林の大きく成長した人間力は、自身を信じるプレーにつながっている。変化の後に進化あり。若林を取り巻く環境の変化が、大きな進化を生んだに違いない。明日からの2日間、若林のラウンドから目が離せない。(文・河合昌浩)
