18年には原江里菜の紹介で、現在も指導を受ける森守洋コーチの門を叩いた。「いっぱいありすぎてここじゃ言えないです(笑)」というほど、再生に向けて二人三脚で練習。今年の復活の要因となったフェードボールへの球筋変更も、コーチからの助言がきっかけだった。そして21年シーズンに入る前には、「ここ2、3年で一番いい」という言葉を口にできるほどの手応えを感じていた。
この日の12番終了時点で若林とは2打差がついていたが、14番パー5でバンカーからの3打目を3メートルに寄せて、それをねじ込んだ。続く15番パー4でも、「ここが勝負所。気持ちで入れた」と5メートルを沈めて連続バーディ。若林に追いついた。「最後まで絶対にあきらめないと決めていた。最後に何打差あろうがあきらめたくない。焦りもなかったです」。まるで、この数年間決してくさらずにゴルフに向き合ってきた姿勢が、そのままプレーにあらわれたかのような終盤戦だった。
「思い描いた優勝ではありませんでした。プレーオフをするとも思ってなかった(笑)。でも今回みたいな初優勝でよかった。一生忘れないと思います」。25歳の苦悩の時間は終わりを迎えた。「ここから2勝目、3勝目、何勝でもできるように頑張りたいです」。北の大地が、堀にとって第2のスタート地点になった。(文・間宮輝憲)
