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「パットなんてなくならないかな…」苦悶の日々を乗り越えた鈴木愛 静かなガッツポーズに込めた意味

「パットなんてなくならないかな…」苦悶の日々を乗り越えた鈴木愛 静かなガッツポーズに込めた意味

所属 ALBA Net編集部
秋田 義和 / Yoshikazu Akita

配信日時:2019年9月1日 17時12分

そんな鈴木を引き留めたのは家族であり、トレーナーであり、お世話になっているスポンサーといった周りの人たちだった。「ずっと悪いときはない。必ず良くなるから」。苦しい状況だったが、周囲の励ましによって、「練習しなければうまくならない」と、そのまま腐らることなくボールを転がし続けた。

プライドも捨てた。今週から投入したPINGのレディース向けパター『G Le2 ECHO』は、「感覚が出ていないときのもの」と避けてきた大きいヘッドのもの。それにド派手なピンク色は「可愛いけど、ちょっとプロっぽくない。それに恥ずかしい(笑)」と思ったが、別のパターを試してみようとした15本くらいの中から「良さそう」と直感的に選んだ。打ってみると感覚も良く実戦投入。「パターは入ってくれるものが一番。どんなものでもスコアが出るのがいい」。格好ではなく、ボールをカップに沈めることを優先した。

練習量と新しいパター。この2つが相まって「久しぶりに入ってくれてうれしかった」と言えるところまで復調。それでもウイニングパットの1mはしびれた。「いつもならこんな距離外さないので、『どんなガッツポーズをしようかな』と考えていたりしていました。だけど、今日は緊張した。だから、カップに入るまで息を飲んで見守っていました」。決まった瞬間は、静かに右こぶしを握った。「今までだったら『いえーい』という感じでしたが、今日は『よかったなぁ』って」。鈴木らしいド派手なガッツポーズではなかったことには理由があった。

大きな、大きな意味のある1mだった。「最後のパットは曲がらないラインでした。昨日も今朝もすごく練習した1mの距離。その距離は、ど真ん中から入らないと気持ちよくない。自信を持ってパッティングできたし、ど真ん中から入ってくれました。練習の成果だと思います」。練習は嘘つかない。3年前の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」の最終日最終ホールで4.5mのバーディパットを決めて大会2勝目を果たした時と同じ気持ちを、同じ北海道で取り戻した。(文・秋田義和)

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