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クロウグリップは“スマホ”のようなもの? 手を動かす“特効薬”か、“新たなスタイル”か?【記者の目】

クロウグリップは“スマホ”のようなもの? 手を動かす“特効薬”か、“新たなスタイル”か?【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2019年8月27日 18時56分

「プロはパット時の右手の感覚が敏感になってしまうのですが、グリップを握らないことで、より左手でリードする意識が強くなり、右手の感覚を抑え込むことができます。また、順手やクロスハンドのように両手での握りに比べ、クロウグリップは、パターを速く動かすことが難しい。そのためどこにフェースが向いているかを自分で感じやすいという面もあります」。そして右手の感覚を抑えることで、「精神的に楽になる部分は大きいのでは」と目澤氏は考察した。

ところで、ここまでの話を含めてもそうだが、このクロウグリップ、パターに悩んでいる選手が手にする“特効薬”というイメージを持つ人も多くはないだろうか? 少なくとも“一昔前”は、そんな考えが根強くあったと思う。

だが、上田桃子らのコーチを務める辻村明志氏は、この握りを取り巻く環境の変化をこう説明する。「ジャスティン・ローズは、この握りで世界1位にもなりましたし、トミー・フリートウッドもパターに問題があるようには見えないなかクロウグリップを採用しています。国内女子ツアーを見ると、まだパターに苦しむ選手のものというイメージはありますが、米国ツアーでは一つのスタイルとして定着しつつありますよね」。

また現在28歳の目澤氏は、こんな考えも口にする。「ネガティブなイメージも持たれるかもしれませんが、僕はスマートフォンのような、新たなテクノロジーという言い方もできると思います。スマートフォンもこれまで無かっただけで、便利さを知るにつれどんどんと広がっていった。新しいものは、どんなものでも最初は否定的な見方をされることは避けられません」。

2005年のマスターズで、プレーオフのすえにタイガー・ウッズ(米国)に敗れたクリス・ディマルコ(米国)がクロウグリップでプレーしたことで、大きな注目を集めたといわれるこの握り。広く知れ渡ってからの年月もまだ浅く、それ以前からゴルフに携わる人たちにはどこか“異端”にも見えただろう。そして、それがやや後ろ向きのイメージを作り出したとしても不思議ではない。

だが、それが小さい頃から“存在”していれば、当たり前のものになる。実際に目澤氏は「中学生くらいの時にディマルコや、マーク・オメーラといった選手がやっているのを見て、『こういう握りもあるんだな』と思った。このくらいの世代から知っていると、抵抗なく、『試しにやってみようかな』という気持ちになる。好きな選手がやっているからマネしてみようかな…、みたいな感じですね」という。さらに「右ひじや、肩のポジションを確認するのにも有効ですし、パターがうまい選手がクロウで練習を行っている姿も見かけますよ」とも“証言”する。

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