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【記者の目】レジェンドの引き際 中嶋常幸がメジャー「卒業」を選んだ理由

【記者の目】レジェンドの引き際 中嶋常幸がメジャー「卒業」を選んだ理由

所属 ALBA Net編集部
谷口 愛純 / Azumi Taniguchi

配信日時:2018年6月5日 14時23分

今季で「日本ゴルフツアー選手権」への出場は最後にすることを決めた中嶋常幸。2日目、最終18番のボギーパットを決めると、一度コースを振り返ってからその場を去った。

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国内ツアー通算48勝で、アマチュアを含めて「日本」と名前がつく大会を次々に制覇してきたが、ついに本大会のタイトルを手にすることはかなわなかった。中嶋がツアー選手権の卒業を決めた理由はなんだったのか。

「自分がやろうとしていることが、途方もなくできない。同伴競技者に迷惑をかけないようにするのが精一杯」と、ホールアウト後にはため息をついた。日本ゴルフ界の歴史を作ってきたレジェンドは、2016年からツアー11試合に参戦するも、予選通過は16年のツアー選手権のみ。「何年も前から、250ヤード飛ばなくなって、予選も通らなくなったら卒業だと考えていた。練習場では279ヤード飛んだけれど、試合とは別。自分の中で結論は出た。ツアー選手権には力が及ばない」。60歳を超え、体力的な衰えも痛感する。他の試合は出る可能性を残しても、メジャー卒業を選ぶしかなかった。

予選ラウンドを同組で回った丸山大輔は、「プロを目指しているころから、ずっと(中嶋の)レッスン本を読んでいた。そばで見ていても、ショートゲームがものすごくうまい」と語る。2週前の「関西オープン」でラウンドをともにした武藤俊憲は「同郷(群馬)の大先輩。『中嶋さん、教えてください』というと、色々な話をしてくれる」。関西オープンでも、「打った感じと、実際の転がりが合っていない。グリーンに応じてパターを変えたら」というアドバイスを受け、平均パット数は関西オープンの1.9091回(122位)から、本大会では1.7292回(18位)へと激変。中嶋の技術や発想が与える影響はいまだ健在だが、自身のゴルフではそれを発揮することが難しくなってきているのだ。

日本タイトルとは、選手にとってどんなものなのか。ツアー10勝、1998年に「日本オープン」の優勝経験を持つ田中秀道は「精神力も技術力も問われるタフな戦いで、4日間全てを完結して優勝できたというのは、次への戦いの自信になる」と語る。しかし、それと同時に次への“壁”にもなるという。「歴代チャンピオン」という大きな肩書きを背負い、周囲からの期待はもちろん、自分自身でも、その名にふさわしい内容を発揮できなければ納得できない。ツアー48勝を誇るレジェンドならば、なおさらだ。

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