しかし、宮本自身は「藤田さんみたいにどうやったら上手くなるかとか考える貪欲さが欠けている。それがいけないんでしょうね」と悩んだこともあった。師匠の芹澤からも「優勝すると気を抜くところがある」と小言をもらい、この4年は賞金王にまで輝いた藤田の背中を常に追いかけてきたが優勝には届かなかった。「予選会に回らないといけないかな」などと藤田に弱音をこぼすこともあった。
それでも、ようやく迎えた40代で初の歓喜は「良い時も悪い時もあると思ってやってきたし、結果が出ていないとは思っていなかった」と最後まで前向きに宮本らしく笑顔で振り返った。藤田は言う「自分とタイプは真逆だけど、ウサギはウサギ。宮本は宮本らしくやればいいんですよ」。兄弟子の言葉を知ってか知らずか、客室乗務員の横で満面の笑みを浮かべる“らしさ”を見せて勝者はカップを掲げた。