ALBA Net  ゴルフ
ALBA Net  ゴルフ

第5回/"カカト軸ジャンプ"の誕生秘話(ドラコン選手は床反力を使う)

元日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロ、現在アメリカの日本食レストランチェーンCEO。異色の経歴を持つTOSHI HIRATAが30年のレッスン経験の集大成を語る。超DEEPな骨太スイング論をアメリカからお届け!

配信日時:2017年3月1日 13時24分

カカト軸ジャンプの体現者である、ローリー・マキロイ
カカト軸ジャンプの体現者である、ローリー・マキロイ
世界ドラコンチャンピオンのジェイミー・サドロウスキー。この画像は13年のものだが、現在のスイングはもっと右カカトの浮きが抑えられて進化している

世界ドラコンチャンピオンのジェイミー・サドロウスキー。この画像は13年のものだが、現在のスイングはもっと右カカトの浮きが抑えられて進化している

スーパーシニアドラコン王・堀田晃宏プロの相談がきっかけ


相談前のスイング。ダウン〜インパクトで右カカトの浮きが目立つ
前回、最強のドリル“カカト軸ジャンプ”を紹介しました。

多くのPGAツアープロが実践してきた、アキュラシーとパワーを両立させる合理的なスイングを身につけるための最短のメソッドです。その効果はジュニア、ツアープロ、そして多くの上級者のスイングの向上に大きく貢献することになるでしょう!

そこで今回は、日本でのこのドリルの実践者の紹介と、PGAツアー、Nationalドライビングコンテストチャンピオンのスイングアナライズをも交えてレッスンしたいと思います。

このドリルを考案するきっかけとなったのは、昨年スーパーシニアドラコン王の堀田晃宏プロからのメールでした。

「HIRATAさん相談があります。今年ドラコン世界大会に参戦した知人に聞いたのですが、アメリカの選手とヘッドスピードが変わらないのですが、ボール初速とスマッシュファクター(ボール初速÷ヘッドスピード)が違います。フィジカルといえばそれまでですが、アメリカ人選手と日本人選手の何が違うのでしょうか?」

といった内容でした。私はすぐに彼のスイング動画を送ってもらいました。それが、上の動画です。

やはり想像通りインパクト時、クラブヘッドにエナジーが十分伝達出来ていなかったのです。私は彼にこう伝えました。「インパクトが軽い! 重いインパクトを身に付けよう!」と。

堀田晃宏プロは、最初はヘッドスピードが落ちた


カカト軸ドリルを行う堀田プロ。ここではアイアンを使ってなじませている

「重いインパクト?」

皆さんも聞いたことがないかもしれませんが、アメリカの多くの選手はツアープロも含めて実に【重いインパクト】でボールをとらえてきます。重いインパクトの理論は次回以降に説明するとして、私は彼にこう伝えました。

私「インパクトで右足カカトが上がりすぎて腕とシャフトが一直線になってしまっている。これをまず矯正しよう!」

そこで彼に伝えたのが、前回のレッスンで紹介した“カカト軸ジャンプドリル”いや!正確にはジャンプ動作の入っていない、“カカト軸ドリル”でした。何回かメールでのやりとりを交え、約1か月後、電話でのやりとりでこんなことを彼は聞いてきました。

堀田プロ「カカト軸ドリルで打つとスイングスピードが落ちますが、左足を伸ばす感じで振れば若干振れますが、それでもいいですか?」

私「それなら同時に右足も伸ばせばいいよ!いや、伸ばすだけじゃなくジャンプしてくれない?」

堀田プロ「???」

私「両足カカトで地面を蹴り込む感じ、ただその時に絶対に頭が上がらないように上体は押さえ込んで欲しい!」

堀田プロの右足の動きは、世界のトップと同じになった!


カカト軸ジャンプドリル後のスイング。右カカトの浮きが完全に抑えられ、マキロイやサドロウスキーの動きに近づいた!
堀田プロ自身もPGA公認ティーチングプロであり、優秀なプレーヤーでもある。すぐに感覚的に理解出来たようで、わずか数時間後に動画が送られてきたのです。

私はその動画を見て驚愕した!

それはまさに彼とのこれまでの会話の中で何度も口にしていた、世界ドラコンのチャンピオン、ジェイミー・サドロウスキーの右足の使い方そのものだった。

ジェイミーは身長180cm、体重74.8kg。ドラコン選手としてはかなり軽量で小柄な部類に入ります。彼はインパクト時の腰の切れのスピードも並外れているが、インパクト時に右ヒザを曲げて地面に押し込むように使い、右カカトの上がりを抑えて方向性さえも確保しているのです。

軽量で小柄でも【重いインパクト】を可能にしているのはこの動作が大きく貢献している。そして、ジェイミーはただ飛ばすだけではなく、曲がらない武器をも使い、昨年ツアープロへの転向も果たしています。私は堀田プロに何度もジェイミー・サドロウスキーのスイングの良さを説明し、このようなスイングを目指すことを勧めました。

ジェイミーと共にスイングの参考例に挙げたのが、PGAツアープレーヤーのローリー・マキロイ。

マキロイもジェイミーと同じく、軽量で決して身体の大きな選手ではない。でも300ヤード越えのドライビングディスタンスと方向性も兼ね備えた、美しいスイングの持ち主。彼の大胆な下半身の使い方はこれからのツアープレーヤーやジュニアプレーヤーは大いに参考にしてもらいたいものです。

そして、最終的に私と堀田プロは、共同作業でジャンプアップの正しいドリル“カカト軸ジャンプ”というもの創り上げることが出来たのです。前にも述べたように、久々に15歳の息子クリスにこの“カカト軸ジャンプ”を実践させたところ、方向性を失わずに30ヤードの飛距離アップ(280−290ヤード)をはたしたのです。SEE YOU!


TOSHI HIRATA/26歳からゴルフを始め、29歳でプロ入会。日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロとして日本で活動していたが、ツアープロの道を模索、武者修行のため渡米したまま移住。現在はアメリカの日本食レストランチェーン『Seasons Of Japan』のCEOを務める。過去には米国ゴルフチャンネルの解説者の経験や、様々な発信をWEBで行っている。ジョージア州在住
堀田晃宏プロ/日本プロゴルフ協会公認ティーチングプロで、関西を拠点として指導する傍ら、ドラコン競技でも活躍。LDJ(Long Drivers of Japan)が主催する、2015年度 WLDC(ワールド・ロング・ドライブ・チャンピオンシップ)スーパーシニア日本チャンピオンで、世界ドラコンへの参戦経験を持つ。枚方ゴルフセンター所属

読まれています


おすすめコンテンツ

関連サイト