平本と話す2週間前にミズノ・伊藤マイスターに話を聞いていた
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筆者 「伊藤さん、ここ養老工場にはプロゴルファーのクラブを研磨、調整する作業部屋があるじゃないですか。そして、ここにフェースゲージなどもあります。いい顔の条件、プロゴルファーが納得するものって何か? というと、このトゥ側のフォルムを決めるフェースゲージとかが重要なんですよね?」
筆者 「え? トゥ側のフォルムって顔を決める上で大事じゃないんですか?」
伊藤 「……。私の考えでは、トゥの丸みの頂点を少し下げることで、構えたときに落ち着きのある見え方をして現代的だとは思いますが、アイアンの顔はいろんな曲線のつながりで出来ているし、好みもありますからね…」
筆者 「……。(好みと言われてしまうと、けっこうキツイなぁ…)質問を変えます。伊藤さんが長年ミズノのアイアン作りやプロゴルファーのサポートをしてきた中で、【構えた時の顔づくりで一番大切にしていること】は何ですか?」
伊藤 「いい顔は、フェースの上半分を隠せば分かります」
筆者 「えっ? 顔の良さを見るのに上半分を隠す?? だからさっきトゥ側が重要じゃないってことだったんですか??」
伊藤 「この話は一般の方には伝わりづらいかもしれません。ネックとフェースは付いている角度が違って、2Dではなく3Dに見えますから。あくまで構えたときのゴルファー目線の視界で話をすると、【ネックが真っすぐ入っていること】が一番重要なんです。ネックの付け根の部分の角度に歪みがあると、その先の“フェースへのつながり”のラインが壊れて違和感が出てしまう。
プロゴルファーはこの部分を一番重視しますし、ネックが真っすぐ入って、そのネックの幅の延長でフェースがスクエアにつながって見えないと気持ち悪いんです。ですから、フェースの上半分を隠して、下半分だけを見るだけで、いい顔かどうか?の判断が出来るんですね。
筆者 「えっ、昔から!? ちょっと展示してある過去の名器を全部フェースの上半分を隠して見てみます!」