国内屈指のドライバー名人は、PGAツアーでも【効率】トップクラス
一見すると、ランク的にかなり低い数字ばかりで、「PGAツアーで戦うには飛距離が足りないのでは?」と見るゴルファーも多いだろう。だが、この数字は一部でしか無く、小平のドライバーの巧さの本質はこの数字外のところに現れている。
筆者が注目するのは出場試合は少ないものの、現在「トータルディスタンス効率」はツアー1位だという事実。
この数字は、平均飛距離から平均ヘッドスピードを割ったもので、【自分のヘッドスピードをいかに効率よく飛距離に変えられているか?】の指標と言えるだろう。
というのも、「スマッシュファクター」は、ボール初速からヘッドスピードを割ったもの。そして、スマッシュファクターのランクは平均数字が高いほど上位にくるが、あくまでもボール初速を軸にした、いち目安に過ぎない。
「トータルディスタンス効率」は、実際に出した距離への効率を示す数字であり、小平は並み居るPGAツアーの猛者を抑え、この効率ランクでトップなのだ。ボール初速に対する効率を表す「スマッシュファクター」が高くても、実際の距離につながらなければ意味がないことは言うまでもないだろう。
飛距離は必要。でも、精度がなければ戦えない
しかも、「無理を重ねるうちに体の故障に悩まされた」とも…。「小柄な日本人の体格じゃPGAツアーはムリ」と、誰しも一度は聞いたことのあるフレーズだと思う。松山英樹のような立派な体格を持たない小平は、飛距離を捨て、精度で戦うしかないのか?
答えはYESでもあり、NOでもあると思う。飛距離は絶対に必要だろう。だが、飛距離を求めて精度を失えば、元も子もない。上記の小平のスタッツは、直近で短尺化をして精度アップをしたデータと、それ以前のものが合わさった数字。
すなわち、まだ小平は短尺化にアジャストしたばかりの状態で【PGAツアーで効率トップクラス】という事実がある。
しかも、ショットの精度アップで、わずか参戦15試合目でPGAツアーで勝利した。もちろん、ドライバーの飛距離はプレーの一部分でしかないが、今後やみくもに飛距離アップを求めなければ、PGAツアートップの効率を持つ男として戦う未来が見える。
信頼するクラブメーカーのサポートと、屈指のドライバー精度。短尺化は今だけで、長くすれば飛距離も伸びるはず。国内屈指ではなく、世界屈指のドライバー名人へ。小平智がそう羽ばたく未来しか見えないのは筆者だけだろうか?
Text/Mikiro Nagaoka