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タテ溝(VGG)VSタテ研磨(YONEX)。サイドスピンは本当に減るのか?JGFレポ【3】

年に一度のゴルフクラブオタクの祭典、「ジャパンゴルフフェア2018」が閉幕。今年のフェアで試打ブースで人気を集めていたヨネックスのタテ研磨ドライバー『EZONE GT』と、初出展のバーチカルグルーブゴルフ(VGG)を現場でマッチアップさせてみると…?

配信日時:2018年3月27日 11時29分

コシの強い純正シャフトで先端ややしっかりの『VGGドライバー』は左に行かない

『VGGドライバー』のサイドスピン、1球目は242rpm

『VGGドライバー』のサイドスピン、1球目は242rpm

――― バスッ! ―――

筆者 「うへぇ、意外。『VGGドライバー』ってこんな音なんですね。派手で奇抜な見た目なので、キャーン!といくのかと思ってましたが、意外に上質でいい音ですね。安っぽさがまったくない。食いついた感じと、分厚く押した感じの両方がある感じで、アスリート好みですね。ボクは大好物です」

筒 「同感です。アメリカの新興ブランドとなると、過去の経験では音のチューニングまでには意識がいっていない感じでしたが、このモデルはしっかりサウンドも開発しているようですね。これなら、ジョン・デーリーやロッコ・メディエイトが使うのも分かりますね。典型的な飛ぶアスリートモデルの打感ですよ。しっかりロフトをキープした状態でインパクトを長く強く押しこめる感じです」

筆者 「ちょっと打たせて、おっ!本当だ。少し音がこもってますが、手に伝わる感触も柔らかくて、球持ちがいいなぁ〜。これは長く押せる。それでいて、左にいきづらい感じがしますね。普通はくっつきすぎると、左に巻く印象ですけど、これはその感じがしない。思い切りつかまえにいっても大丈夫そうなので、左へのミスを嫌がるドローヒッターにすごく相性が良さそう
しっかり振っていくと、−135rpmに。このショットは距離も出ています

しっかり振っていくと、−135rpmに。このショットは距離も出ています

筒 「概ね同感ですね。肝心なサイドスピン量ですが、一球目が242rpmのやや右へフェードって感じですね。これは、シャフト先端剛性の高さや、ややオープンフェース寄りで、オートマチックにつかまえるというよりは、自分で叩ける人向けのクラブ特性を示していますね。サイドスピンの表示って、300rpm以内であれば、ほとんど見た目にはそんなに曲がって見えませんよ。これが三桁から二桁になれば、ほぼストレートボールといっても過言ではないです。ちょっと慣れてきたので振りましたが、それでも左に-135rpm。曲がりは少ないです」

筆者 「タテのスコアラインの効果かどうかは不明ですが、確かにサイドスピンは少ないですね。ボクでも500rpm以内に収まりましたから。ただ、決してスライサー向けではありません。フッカーが曲がりを減らせるクラブといった印象です」

筒 「そうですね。サイズも小ぶりで浅重心ですし、ある程度の技量とパワーのある球をつかまえられる人向けのスペックですね。10.5°の純正Sですが、ヘッドスピードは42m/sは欲しいところだと思います。ただし、このヘッドはパーツ販売もするとのことで、シャフトを好みで選べる可能性があります。好みのシャフトを入れると化ける可能性を感じますね

筆者 「確かに。純正でもクセがなくて振りやすいけど、化けるヘッドかも…。じゃあ、次はヨネックスとの対決を行ってみましょう」

しなり量が多いのに、シャフトの復元性が高い『EZONE GT』

『EZONE GT』、1球目から驚異の71rpm!サイドスピン少ねェ〜

『EZONE GT』、1球目から驚異の71rpm!サイドスピン少ねェ〜

――― バシーン! ―――

筒 「!!! なるほど〜、サイドスピン71rpmですか、二桁が出ました…。長岡さん、このドライバーはもう既に何度も打ったことがあるのでよく知っていますが、『EZONE GT』は、このブランド史上最高の出来だと思いますよ。ヨネックスの試打ブースに人がむちゃくちゃ集まっていた意味がよくわかります。とにかく、曲がりを抑えられます

筆者 「べた褒めじゃないですか、ちゃんと理由を言ってください」

筒 「さっきの『VGGドライバー』がややセミアスリート以上の球をつかまえられる人向きなのに対して、『EZONE GT』はセミアスリートよりも下の人向きで、オートマ性能が高いんですよ。この純正シャフトはしなり量が多いんですが、復元性が高くて『VGGドライバー』とは違って先端が最後に走ります。

ロフト9°の純正Sですが、オートマチックにドロー傾向になりやすく、実際にサイドスピンも少ないですね。つかまりやすいからといって、チーピンになるような球もない、適度なターン感で、ちょうどヘッドスピード41m/sくらいのややスライス傾向の人にはぴったりです」

筆者 「まぁ、そうなんだよなぁ。このモデルって、リアルロフトも大きめですよね。9°なのに球が上がるし、本当に曲がりが少ない。さすがにボクがぶったたくと左に巻きますが、基本ボディターンでおとなしく振ってる範囲では、OBで死なないですよね」
ドローのイメージでも-102rpm。極端な曲がりにならないのだとか

ドローのイメージでも-102rpm。極端な曲がりにならないのだとか

筒 「そうですね、リアルロフトはおそらく10.5°表示の『VGGドライバー』と同じくらいでしょう。FPもすごく大きいし、深重心で球が上がりやすいです。このドライバーの完成度が高いと思う理由は、大きな動きのシャフトにもかかわらず、バランスがよくて弾道コントロールも適度にできるところ。

少しドローめに入れましたが、先端が走るのに、つかまりすぎたりせずに少しドローになってくれます。そして、打感も音も弾く感触もしっかりあります。適度に球持ちもよく、しっかり弾く感触もあるという、すべての意味でやりすぎのない、トータルバランスに優れたモデルなのは間違いないでしょう。万人に合うクラブだから、試打ブースが盛況だったんだと思います

まとめ:サイドスピンでは『EZONE GT』が勝利し、飛距離では『VGGドライバー』が勝った

スコアラインなしのタテ研磨『EZONE GT』がサイドスピン対決を制しました!

スコアラインなしのタテ研磨『EZONE GT』がサイドスピン対決を制しました!

筆者 「今回のタテフェース対決は、サイドスピン対決ではヨネックス『EZONE GT』が勝利する形になりました。スコアラインがないのに、タテ研磨は曲がりが少なかったですね。でも、『VGGドライバー』も十分曲がりに強かったですが…」

筒 「正直なところ、タテ研磨にしろ、タテ溝にしろ、どちらもものすごく影響があるかどうかはわかりません。サイドスピンと表示されますが、結局はボールに与えるスピン軸の傾きを数字で表示しているに過ぎないので、ここに目を向ける必要はないと思います。

実際、打ち出し方向が大きくズレない限り、500rpmかかったとしてもフェアウェイに残らないにしろ、セカンドショットが打てる範囲にはあるはずですしね。それよりも、シャフトの動きや特性が自分にマッチしているかどうかの方が曲がりには重要ですから」

筆者 「そうですね。その意味でも、『VGGドライバー』はパーツ販売もしますし、自分に合うシャフトを選べるモデルでもありますし、初速や飛距離ではしっかり出ていてヘッドの基本性能の高さはよくわかりましたしね」

筒 「長岡さん、曲がりを減らしたくてタテ研磨とタテ溝に注目するのはわかりますが、あなたほどの打点ズレを救えるヘッドはそう多くないです。第一、さっきスイングを見ましたが、また複雑骨折してますよ。スイングが悪化の一途ですが、世の中そんなに甘くないですから!」

筆者 「ぐぬぬ……。(ムカッ!余計な一言だなぁ、ビール瓶出したいけど、ゴルフフェアは人が多いからダメだし…)帰ります!」


Text/Mikiro Nagaoka

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