起点は2015年のフジクラ『プラチナムスピーダー』の発売。ここから【カルカタ】が一般化していった
P編 「そうだね。どこが硬いものが【カルカタ】なのか?と言えば、起点は2015年3月発売のフジクラの『プラチナムスピーダー』にあると思う。元々は、手元側が硬くて先が走る軽くて硬いスペックにすることが【カルカタ】と呼ばれていた気がするね。その後、工房向けのカスタムシャフトではコンポジットテクノ『ファイアーエクスプレスK2』や、ムジーク『ドガッティゼネレーション』、TRPX『Air』など、【カルカタ】シャフトがたくさん出てきた」
筒 「長岡さん、いま、カスタムシャフトの売れ筋が変わってきているのはご存知ですよね?昔はアスリートゴルファーなら60g台のS、つまり【6S】を使うのが当たり前でしたが、いまは違います。やはり、ゴルファーの加齢で【6S】を使っていた人が50g台の【X】やその下の40g台の【X】まで使う人が増えているんですよ。多くのシャフトメーカーはその辺の動きがよくわかっていますから、軽量の重量帯にはこれまで少なかった【X】や【SX】といったフレックスをしっかり用意しているんですね。実際、昨年終盤もUSTマミヤの『ATTAS CoooL』やフジクラ『スピーダーエボリューションIV』の5Xや4Xが欠品してましたよね。気づいている人は気づいているんです。【カルカタ】の魅力に」
筆者 「それを【カルカタ】と呼ぶのも分かるんですが、例えば元調子系のシャフトでも【5X】だったら“俺はカルカタなんだ”って言うんですか?」
P編 「う〜ん。まぁ、ちょっと抵抗はあるけど、そう呼んでも別に問題はないんじゃないの?だって、君がさっき打った筒さんの『ATTAS 6★』だって、元々厳密に言えば手元だけが硬くて先がビュン!ってシャフトではないよ。いまは軽くて硬いものなら【カルカタ】だよ。直近の三菱ケミカル『KUROKAGE XD』も50g台のRも追加されている。もちろん50Xもあるけど、普段純正シャフトばかりを使っている人なら、カスタムの50Sや50SRでも十分に【カルカタ】として機能するはずだよ」
純正シャフトにも広がるか?【カルカタ】の波…
P編 「昔よりも大アリだよ。だって、昔は製法上の問題として、硬くするためにはカーボンシートを多積層するしかなかったから、必然的に硬いものは重くなるしかなかったんだよ。でも、技術の進歩でその常識が崩れて、いまは軽くてもしっかりしたものが自在に作れる。だから、実は現代の方が、カスタムシャフトユーザーと一般ゴルファーが使う純正シャフトの重量差が少なくなって、硬さが選びやすくなったんだ。フジクラもマミヤも40g台のRからXまでラインナップしてるだろう?純正シャフトユーザーもかなり選べるよ」
筆者 「でも、結局は元々振れる人たちが求めて作った市場というか、ニーズってことでしょ?一般アベレージゴルファーには関係ない話しだと思います」
筒 「そんなことないですよ。元々カスタムシャフトを使わない人でも、【カルカタ】のメリットはいっぱいあります。さっきボクのクラブを打って長岡さんが気づいたように、シャフトにラクすることだけを求めるのじゃなく、しっかりしならせた反力を使って飛距離アップするという、正しいスイングを教えてくれる効果もありますし」
筆者 「そうなんだよなぁ〜、ボク自身、ここまで【カルカタ】で飛距離アップするとは思いませんでした。絶対に暴れるだけだと思っていたので。そう言えば、数年前までは年間30回以上ラウンドしてたんですが、ここ数年は左手親指のケガもあってかなり数も減ってシャフトの好みも変わってきたんですよね」
筒 「わずか数年前はカスタムシャフトの70g台や80g台の【X】か【XX】が当たり前でしたよね?」
P編 「どのゴルファー層を狙って作った純正シャフトか?で【カルカタ】ライクなシャフトは、絶大なる武器になる可能性が大だよ。腕に覚えのある人であれば、年齢はそんなに関係ない。ゴルフに熱心にハマり込んだ経験のある人なら、軟派なグニャグニャシャフトより、【カルカタ】ライクなものがゴルファーとしての潜在能力を再び引き出してくれる可能性があると思うね。特に40代で6Sのカスタムを使っていた50代のシニアアスリートには一度試打を薦めたいね」
筆者 「筒さん、やっぱりコレ、持って帰っていい?」
筒 「だから!!ダメですって」
Text/Mikiro Nagaoka