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一番飛ぶボールは、ルール違反の高反発ボールじゃない!? 『SRIXON-X-』試打レポ

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配信日時:2017年8月4日 13時59分

TANABEEが一番飛んだのは『飛匠』。次が『SRIXON-X-』。『ゼウスインパクト』敗れる!

ナイスショット2球を打った平均値データをトラックマンで測定

ナイスショット2球を打った平均値データをトラックマンで測定

ご覧のとおりなのだが、このデータを見ると「なぜ?」という疑問がいくつも浮かんできた。筆者に結果を解説してくれたのは、松山英樹と二人三脚で理想のボールを作り上げた、同社ボール開発担当の神野氏だ。

――『ゼウスインパクト』がボール初速67m/s以上と圧倒的に速いのに、トータル飛距離で『SRIXON−X−』が上回っているのはなぜ?

「一番飛んでいる『飛匠レッドラベル極』を代表に、高反発ボールはR&Aのボール初速の制限を狙ってオーバーしたボールです。これらのボールはものすごく硬い打感ですが、ボール初速が出ます。ところが、雑誌の試打企画やインドアレンジなどの弾道計測器では素晴らしい予想数字が出ますが、コースではさほど飛んでないという現象もおきます。特に『ゼウスインパクト』の場合は軽さで初速は出ますが、同時に減速もおきてしまいます。これは空気抵抗がものすごく実際のコースでは飛びに影響を与えるからなんです」(神野氏)

――『ゼウスインパクト』が特にですが、初速が強烈に速いのに、キャリーもランも出ていません。途中で失速する?

「多くの弾道計測器は、インパクトの初期条件のボール初速を計測します。そこから計算式で予想飛距離をはじき出すのですが、ディンプルパターンはまったく考慮されません。だから、このような現象がおきるのだと理解しています。特に『ゼウスインパクト』のように軽いボールは空中を飛んでいるときに受ける空気抵抗で推進力を失います。だから、R&Aも推進力が落ちづらいボールの重さに制限をかけているのですね。もちろん、『ゼウスインパクト』はその分、外径を小さくしているんですが、一番飛ぶ設計というならば重くて小さいボールが答えではありますね」
松山英樹と『Z-STAR XV』を二人三脚で作り上げた、ボール開発の神野一也氏

松山英樹と『Z-STAR XV』を二人三脚で作り上げた、ボール開発の神野一也氏

――『SRIXON―X―』は、他の高反発ボールよりも打感が柔らかいのが意外でした。でも『Z-STAR XV』よりも硬いですね。

「はい。『SRIXON―X―』は『Z-STAR XV』などのウレタンカバーツアーボールと比べると、アイオノマーカバーのため硬い感触ですが、高反発ボールよりはソフトだと思います。気持ち悪くない範囲でギリギリ硬くしているといった感じですね。『SRIXON―X―』はボール初速と低スピンで最大飛距離を狙ったボールなので。大体『XV』などと比べて2、300rpmはスピン量が減って、初速が1.2m/s程度上がる計算ですね」

――高反発ボールはアイアンなどを現場で打つと、高く上がってそこから吹き上がるような球になる実感があります。高反発ボールは高スピンなんでしょうか?

「ボールの変形率が少なくて、高反発ボールはものすごく硬いんです。捻り戻りという点では確かにご指摘の部分はあるかもしれません。アイアンだと捻り戻りがないためスピン量がすごく増えてしまうテストデータはありますね。ですから、アイアンの飛距離は間違いなく『SRIXON―X―』が上だと思いますよ。ただし、『SRIXON―X―』は、アプローチで全然スピンがかかりませんが。これは、あえてその部分は犠牲にしていますね」

――アスリート向けだった『JOKER』の例もあり、今回の『SRIXON―X―』を使わせたいターゲットがいまいち見えないんですよ。『Z-STAR XV』と同じ4層のボールだし、単純にカバーがアイオノマーになったバージョンとも取れる。SRIXONブランドでもあるし、アプローチスピンを重視しないアスリートゴルファーに薦めたいボールなんですか?

「そこは『JOKER』のイメージがあるからだと思いますが、弊社としてはそこまで限定しませんし、飛距離を求めるすべてのゴルファーを対称にしていますね。弊社のテストはヘッドスピード40m/sで高反発ボールと比較して、飛距離性能に遜色がないことを開示しています。結局、ボールを替えることで飛距離を求める人すべてが対称ということになります。

あと、去年テスト販売をさせてもらったときのアンケート結果でも、70歳を超える年配の方にもたくさん使っていただきました。そして、その方たちの意見として聞かれたのは『これでも全然硬くない』という言葉でした。昨年のものよりは今回は柔らかくして出しています。アプローチスピンは求めない方で、高反発ボールよりは柔らかくて適合なのに飛ぶボールと解釈してもらえばいいのかなと。

ボールに飛びを求める方は、加齢で飛距離が落ちた人だけじゃなく、若くてヘッドスピードのある人でも“もっと飛ばしたい”という人が多くいるはずです。ですから、飛距離を求めるすべての人が対称という形ですね」


ちなみに、筆者も打つには打たせてもらったが、相変わらずスイングの調子が悪く、他社のボールはほとんど林に打ち込んでしまったが、なぜか『SRIXON―X―』だけは真っすぐ飛んでいった。もちろん、マグレ当たりなのだが、TANABEEも「サイドスピンも少ない気がするので曲がりに強いですよね。ボクはアプローチスピンを必要にするタイプじゃないので、あのくらいの硬さなら全然使えますよね」と帰りの車中で語っていた。

ただ、筆者が『SRIXON―X―』を使うか?というと、意外かもしれないが、答えはNOだ。なぜなら、飛ぶボールをゲットしてしまうと、コースで絶対に振りまくってしまうから。そうなると、ハーフ3OB以上を林に打ち込む結果は目に見えている……。(己の欲に打ち克つには、使わない勇気も必要だ!と自分に言い聞かせるが、我慢できるか…)


Text/Mikiro Nagaoka

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