ハンドファーストで手首をこねずに「強く・長く球を押す」
20数年前に完成したという「ちゃごる理論」だが、その【インパクトの体勢】という意味で、現代のPGAツアーの強者の多くに共通点を持つ。高沖氏が挙げた顕著な例は、B・デシャンボー、D・ジョンソン、B・ケプカらだ。
たしかに、インパクトの形は超ハンドファーストで高沖氏の「ちゃごる流インパクト」にそっくり。でも、そのアドレス時の握り方も全体の振り方も2人はまったく違って見える……。巷のスイング理論では、真っ先にグリップの握り方から指導するものだが、高沖氏はどんな握りを推奨するのか。
「ちゃごる流は、アドレスとインパクトは別物なので左手の握りは自由です。動きの中で掌屈し、左ヒジを外向きに腕をひねる形で結果的にハンドファーストに捉える形がしやすければOK。デシャンボー選手は構えからその形を作ってそのまま打ちますし、DJ選手は最初の構え方は違っても、動きの中で作るだけ。ただ、右手部が太いグリップの方がハンドファーストで強く右手を押せるからオススメしたいですね」(高沖氏)
ちゃごる流グリップ論は、「アドレスとインパクトは別物」
「球を強く押せるのは、体から腕が離れ、両腕が伸びたハンドファーストの形です。体感するためには、両手を前にだらんと指先まで垂らして、幽霊のようなポーズを取ってみてください。その状態から、両腕を右にひねる。ここから胸を少し開いた形がPGA選手にも多いちゃごる流インパクトになります。
体重移動してスライドするのではなく、その場で体を開きますが、このように左手の掌屈が入ればスクエアフェースで長く目標方向に押せる形になります。PGAツアー選手の多くがグリップの右手太めを好むのは手のサイズだけでなく、インパクトで太い面を使って強く押せる、打ち方の要素も大きいと思いますね」(同)
DJもやはり右手が太い!皆ゴルフプライドですね…
「DJ選手は右手3重、左手2重巻きと右手が太めで、インパクトで真っすぐ押しやすいグリップですね。ブルックス・ケプカ、ゲーリー・ウッドランド、タイガー・ウッズ、ジャスティン・トーマス選手もみんな『ツアーベルベットコード』のやや太めと共通しています。『MCC(マルチコンパウンド)』のジョン・ラーム選手も【MID】。えっ、今年の「全米プロ」のグリップ使用率が87%※だったんですか? みんなゴルフプライドじゃないですか……。 ※ダレルサーベイ調べ
デシャンボー選手は『ジャンボマックス』の超極太グリップをずっと好んでいるのは有名ですよね。ここまで太くすると重さも強烈で、クラブのバランスが出なくなったりしますが、太いグリップだと、基本的に左手の掌屈がしやすくなります。ここまで太くするかは別にしても、PGAツアー選手の潮流から考えれば、【MID】という太めが今後、日本でも常識になる可能性を感じますね」(同)
とはいえ、太めが「万人に合うか?」というと、それも少し抵抗がある。なぜなら、PGA選手と我々一般アマチュアでは、身長も手の大きさも、何より、パワーに天と地ほどの差があるからだ。この辺りについて、次ページで深堀りしてみよう。