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ユーティリティ巧者・片山晋呉“ドライバーを抜く戦略”の内幕

text by kazuhiro koyama

配信日時:2016年10月20日 16時30分

“ティショットでスプーンを選択するリスク”を見事に回避した片山

圧倒的なパワーを持つ松山英樹は、多くの選手が苦しんだラフを制したが、あくまで特異な例

圧倒的なパワーを持つ松山英樹は、多くの選手が苦しんだラフを制したが、あくまで特異な例

 フェアウェイキープのためとはいえ、スプーンでのティショットにはリスクもある。当たり前のようだが、ドライバーよりも飛距離が出ないことだ。もしラフに入ってしまった場合、ドライバーで打ったときよりも、残り距離を数十ヤードは残してしまうことになる。今回の日本オープンのコンディションでは、ラフから距離の出る長いクラブを使うのはほぼ不可能だった。

 パワーヒッターであれば、ドライバーで飛距離を稼ぎ、仮にラフに入ってもショートアイアンで打てるホールも多い。もちろん、これだけ深いラフになると短いアイアンでも難しいわけだが、ロフト角が大きい分だけ、ラフから脱出して、なおかつボールを高くあげることで、グリーンに止められるチャンスが出てくる。それを実践していたのが、上位陣の中では圧倒的なパワーを持つ、松山英樹だった。
ティショットで多用したスプーンは、グローブライドの『ONOFF黒』の未発売モデル

ティショットで多用したスプーンは、グローブライドの『ONOFF黒』の未発売モデル

 片山の場合、ドライバーもそれほど飛ぶわけではない。今季ここまでのドライビングディスタンスのスタッツは50位。スプーンを持てば、さらに飛距離は出せない。しかし、ロングヒッターたちがラフに打ち込んでボギーにしてしまうのとは対象的に、スプーンで確実にフェアウェイをとらえ続け、ゲームを有利にすすめることに成功した。

 片山がティショットで多用したスプーンは、グローブライドの『ONOFF黒』の未発売モデルだ。おそらく来春発売になるモデルだろう。低めの弾道とスピン量が少ない強い弾道で、飛距離と方向性を両立させていた。

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