ハンデを補う工夫が詰まった宮里のセッティング
スイングにも飛距離を補う工夫が見られる。フェースをクローズ気味に使い、インサイドからのアッパーブローで飛距離を稼いでいる。ゆったりしたテンポで躍動感のある美しいスイングに目を奪われがちだが、いわゆるカチ上げ気味にインパクトを迎えているのが特徴だ。それによって、打ち出し角は高く、スピン量は少なくなりやすい。ボール初速も上がりやすいので、非力な選手が飛ばす方法としては有効だろう。長尺シャフトとスイングで、ヘッドスピードの速さと打ち出し角を確保して、ロフト角は少なめの9.5度と飛距離重視の選択だ。
ドライバーが飛ばすためのクラブなら、それ以外の下の番手は徹底してグリーンを狙える仕様になっている。以前の記事(http://www.alba.co.jp/gear/column/article?title_id=10&id=1050&page=3)で紹介したように、3番と5番ウッドは、2008年発売の『TOURSTAGE X-DRIVE 701』。おそらく現代のモデルは低スピン性能が強いので、ボールが上がらず、グリーンにも止めづらいのではないだろうか。
ユーティリティは、さらにその傾向が顕著で2012年発売の『PHYZ(ファイズ)』をU4(22度)、U5(25度)、U6(28度)と入れている。プロや上級者向けの『TOUR B』ではなく、力がなくてもボールの上げやすいシニア層向けモデルの『PHYZ(ファイズ)』を使用しているのがポイントだ。さらに、旧モデルのほうがよりスピン量を得ることが出来るので、ボールの高さが出せる。
硬くて速いツアーのグリーンで止めるためには、弾道が高く、スピンの効いたボールを打つことが必要だ。しかし、宮里のヘッドスピードとスイングでは、ロング・ミドルアイアンで、ツアーで必要な球の高さを出すのは難しいだろう。それを補うのが、旧モデルのウッドやユーティリティだ。
