日本代表、片山晋呉のクラブセッティングは?
しかし、五輪への想いは他の日本人選手と比べてもずっと強かった。ランキング上位の松山英樹、谷原秀人の辞退で出場資格を得たわけだが、オリンピック出場権を得るための世界ランキングを昨年の早い段階から意識してプレーしていた。今シーズンの成績は振るわなかったが、代表に選ばれたのは、この昨年までの成績、特に後半戦の好調が活きた格好だ。
片山といえば、7番ウッドなどのショートウッドを早くからツアーに持ち込んだ選手としてよく知られているが、現在はツアーでも指折りのユーティリティの名手だ。アイアンセットは何と7番アイアンから。6番アイアンを抜いている選手は、女子プロでもほとんど存在しない。アイアンと呼べるのは、7番〜9番のわずか3本のみで、その下は、46度、50度、56度、60度とウェッジが4本入っている。
ウッド類は、ドライバーの他はスプーンを抜いて、現在5番ウッドのみ。この5番ウッドと7番アイアンの間の距離を埋めるのが、4本のユーティリティになる。アイアンに比べて、ユーティリティは重心が深く、ボールを高く上がることが容易になる。一般的には、アイアンのほうが、操作性が良いようにも思えるが、片山自身は、打ち分けられる球筋が増えることがユーティリティのメリットだとコメントしている。
正確なショットが持ち味の片山だが、実は球筋を無数に変化させてコースを攻略している。ほんの少しドローでランを出したり、高めのフェードで止めたりといった具合に球筋を操り、残り距離をアジャストしているのだ。その卓越した距離感を出すために、アイアンでもショートウッドでもなくユーティリティの機能が有利というわけだ。
パターは、昨年エースだった『アキュロック』から、今年に入りテーラーメイド『ロッサコルザゴースト』の中尺タイプを使用することが多かったが、オリンピック本戦では、アナライズ『ナチュラルパター MMプロト』を使用。クラブアナリストのマーク金井氏が、開発段階から片山を意識して設計したというパターで、シャフトの挿入角度が左から入り、ハンドファーストなアドレスになりやすいのが特徴だという。
