手術からわずか2ヶ月、勝つために日本に来たタイガー
史上はじめて日本で行われたPGAツアーの試合。松山英樹との優勝争いの末、タイガーが偉大な記録をまたひとつ塗り替えるという、絵に書いたようなドラマチックさで、まさに歴史的な試合になったといえそうだ。サム・スニードの記録の偉大さは変わるものではないが、より優れた選手が多くなった現代に、タイガーは40代前半で達成した(※注 スニードは53歳で達成)。3位に入ったローリー・マキロイも「この時代にPGAツアーで、50回勝つことだって信じられない」と驚きを口にするほど、大変な記録だ。当面、この記録が破られる可能性はゼロに近いだろう。
しかし、タイガーの優勝を予測できた人はほとんどいなかったのではないだろうか。8月のBMW選手権が終わって、自身5度目となるひざの手術を行い、この試合は2ヶ月ぶりの復帰戦だった。試合前のパワーランキング(優勝候補)では、15位にも入っておらず、正直、来日するまでは本当に試合に出場するのかと訝しむ声もあった。
今年4月の劇的なマスターズでの復活優勝。世界中のゴルフファンがタイガーの勝利に湧き、新たな活躍を期待したが、実のところマスターズ以降のタイガーの戦歴はよくない。それどころか、試合出場もメジャー3試合を含む6試合にとどまり、棄権や予選落ちもあった。マスターズの勝利があまりに劇的だっただけに、モチベーションの低下すら思わせるような戦いぶりだった。
来日してからのタイガーは、日曜日には分刻みで複数のイベントをこなし、月曜日はスキンズマッチに出場した。初日のプレー後もスイングクリニックのイベントがあった。スーパースターらしい多忙ぶりで、とても試合に集中できる環境には見えなかったのだ。