復活のプロセスは、まずボール選びからはじまった
近年になっても、ベッドから起き上がることも出来なかったという腰の故障で4度の手術を受けた。2年前のマスターズは、出場はおろか、チャンピオンズディナーでさえ神経ブロック注射を打って出席したほどだった。そして5月には薬の副作用が原因で逮捕されるという事件があった。「タイガーはもうダメかもしれない」と多くの人が感じたあのどん底から、まだ二年弱しか経っていないのだ。
タイガーの劇的な復活劇は、まずボール選びから始まった。各社の多くのボールを打ち比べ、最終的に選んだボールは、ブリヂストンの『TOUR B330S』。
様々な特許技術をバックボーンに開発され、タイガーをして「最高のボールだ」と言わしめたブリヂストンのボールは、ボール契約フリーのプロを含め多くのトップアマに支持されている。近年着実にシェアを伸ばしているが、今回のタイガーの優勝で大きくジャンプアップしそうな勢いだ。
マスターズ終了後、トランプ大統領のツイートで、タイガーに大統領自由勲章を送ることが発表された。ゴルフ界ではアーノルド・パーマーとジャック・ニクラウスの二人のみが授与されているという。
そして、オバマ元大統領もタイガーについてツイートしていた。なかなか相容れなそうに見える二人だが、ともにゴルフ好きであり、タイガーを称賛する気持ちは共通している。
Congratulations, Tiger! To come back and win the Masters after all the highs and lows is a testament to excellence, grit, and determination.
— Barack Obama (@BarackObama) 2019年4月14日
“Congratulations, Tiger! To come back and win the Masters after all the highs and lows is a testament to excellence, grit, and determination.”
(おめでとう、タイガー! 多くの浮き沈みのあとで復活し、マスターズに勝利したことは、卓越性とくじけない勇気、そして決意の表れです)
人生の浮き沈み、栄光と挫折を経験したからこそ、この勝利はより美しい。これほどのシーンに遭遇できたことは、ゴルフファンとしても幸福なことだったと思える。このマスターズの勝利によって、今年のメジャー大会はタイガーを中心に展開されるだろう。そして、そのすべてが極上のドラマになるはずだ。