ジャンボが使用したパターの名器
昨年末にマグレガーから、ソールにウェイトを搭載したいわば現代版の「IMG5」が発売された。なかなかの人気になっているというが、購入した人は、モデルの良さはもちろんだが、当時のジャンボへの憧憬も加わったのではないかと思う。
1996年に登場した「WOSS(ウォズ)」パターも忘れてはならないだろう。パッティングに課題を抱えていたジャンボが、より寛容性があり、それでいてL字パターのようなフィーリングを出すべく開発されたモデルだ。トップブレードに白く太いラインが入っているパターを懐かしく思うゴルファーも少なくないだろう。
ジャンボ軍団を中心におびただしい数のプロが使用し、この年は「WOSS」だけで20勝以上の勝利が生まれた。これは後にも先にもない空前の実績で、まさにツアーを席巻した名器となった。不祥事などの影響で翌年にメーカーであるワールド・ワン社が倒産したのは、仕方ないこととはいえ、今思うとやや残念な気持ちにもなる。
パターだけにとどまらず、ジャンボが使う全てのクラブが注目の対象となっていた。新しい意匠を施したクラブは、それぞれに開発ヒストリーがあり、ドラマがあって、ゴルフファンのあこがれの対象だったのだ。それらの濃密なエネルギーを現代のクラブが持つことはもはや不可能だろう。