来季のシード権はすでに安泰だが、15年のプロ転向以来、今大会には16年から欠かすことなく挑んできたポストンは、9度目の出場となった今年こそ優勝したいと願っていた。「このコースは一目見たときから相性の良さを感じていた。去年は3位タイ。今年こそと思っていた」。
最終日。一時は2位との差を4打へ広げ、ストレスフリーのゴルフを披露している様子だった。しかし、終盤は16番でも17番でも短いパットを外し、2位で追う28歳のダグ・ギムとは、わずか2打差で18番へ。
見事にピンそばを捉えたギムが先にバーディーパットを沈め、1打差まで迫られたポストン。12メートルのファーストパットを1.2メートルもショートさせ、このパーパットを外したらギムとのプレーオフになるというドキドキの状況に陥った。
しかし、これをしっかり沈め、9度目の正直でラスベガスでの初勝利。通算3勝目を挙げた。
「スコアをいくつ伸ばしても、決して安泰ではないことを痛感させられた。ダグ・ギムはグレート・プレーだった」。勝者がその場で敗者を讃えたその言葉には、実感が込められていた。
一方、ギリギリまでポストンを追い詰めた末に惜敗したギムにも、大きな注目が集まった。両親は韓国生まれで米国へ移住。ギム自身は米国で生まれ育ち、テキサス大学時代は世界アマチュアランキング1位に輝いた。PGAツアーは未勝利で、今大会では初優勝にリーチをかけたが、72ホール目でポストンがパーパットを捻じ込んだ瞬間、初優勝の夢は消えた。
その瞬間、目を閉じ、下を向いたギムの表情には大きな落胆が見て取れた。しかし、すぐさまクスっと笑った仕草が、なんとも素敵だった。
「ポストンは今週、いいゴルフをしていた。彼は勝者に値する。ラスベガスに住む僕にとって、このTPCサマリンはホームコース。熟知しているコースでの戦いは快適なはずだったけど、それと戦いに勝つことは、まったくの別モノだった」
勝者を称え、潔く敗北を認め、冷静に敗因を語ったギムのグッドルーザーぶりは、とても清々しく、来たる「ZOZOチャンピオンシップ」での彼の活躍に、是非とも期待したいと思った。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
