試合会場のキャッスルパインズを訪れていたブラッドリーの父親・マークはPGAオブ・アメリカ所属のクラブプロだ。ブラッドリーの幼少時代、父親は息子をゴルフの強い学校に通わせるためにトレーラーハウスを購入。父子はそこで暮らしていた。
「トレーラーハウスは、夏は暑く、冬は寒く、そして一年中狭くて貧しかったけど、父と2人でゴルフの話ばかりして暮らしたあの時代は、とても幸せで貴重な日々だった」
その少年が、将来、PGAツアーの選手になり、「全米プロ」覇者となり、そして今度はプレーオフで勝利を挙げて5億円超の優勝賞金を一気に手に入れることを、一体、誰が想像していただろう。「ゴルフは本当に何が起こるかわからない」。それがゴルフの魅力であり、面白さであることを、改めて痛感させられた。
ブラッドリーは今年7月に2025年「ライダーカップ」の米国キャプテンに選ばれ、以後、彼には「USA!USA!」の声援が寄せられている。ブラッドリー自身、米国チームを率いる責任感を膨らませ、それが今の彼のエネルギーとパワーになっているように感じられる。
「立場が人を育てる」ということなのだろう。最終戦のツアー選手権では、シェフラーやシャウフェレ、松山のみならず、パワーアップしているブラッドリーからも目が離せなくなりそうである。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
