<マスターズ 事前情報◇8日◇オーガスタ・ナショナルGC(ジョージア州)◇7565ヤード・パー72>
ゴルフの祭典とも呼ばれる海外メジャー「マスターズ」がいよいよ開幕を迎える。2011年、13年と2度の出場経験を持つ藤田寛之が、今年からテレビ解説を務める。大会の展望と松山英樹のマスターズ2勝目へのカギを語った。
優勝候補として名前を挙げたのは、昨年覇者のローリー・マキロイ(北アイルランド)、昨年3度目の2位になったジャスティン・ローズ(イングランド)、スコッティ・シェフラー、パトリック・リード、ブライソン・デシャンボー(いずれも米国)、キャメロン・ヤング(オーストラリア)、そしてジョン・ラーム(スペイン)。そこに松山も加わる。「毎年のように名前があがる選手。上位争いをしています」と世界トップランカーが並ぶ。
2011年大会を制したチャール・シュワーツェル(南アフリカ)は当時世界ランク29位だったが、それ以降の14人の優勝者は、同25位以内。1週間のツキだけでは勝てず、安定した強さや直前の調子が結果を大きく左右するという。
「毎年いろいろな選手が大会を盛り上げていますが、終わってみればビッグネームが優勝する。それはマスターズというタイトルの重圧も関係していると思います。メジャーで優勝経験がある選手、ツアーで何勝もしている選手が強いですよね。もちろん苦い経験を積むことで将来的にチャンスが出てきますが、現時点では経験者が強いことは間違いないです」
過去20年の優勝者の平均出場回数は9回目。初出場初優勝は、1979年のファジー・ゼラー(米国)以降出ていない。毎年同じコースで開催し、ピン位置も似たようなところに切られるため、経験は大きな武器になるともいう。
オーガスタのコース特性にも言及する。「ラフがなくて広いといわれますが、実際にロープ内に入ると、そこまで広く感じません」。ティイングエリアに立つとフェアウェイバンカーや傾斜に加え、大きな松の枝がせり出して“空中のハザード”としてコースを狭くしている。
「テレビで見るよりもアップダウンやアンジュレーションがあります。グリーンは面が3つ、4つに分かれていて、同じ面に乗せればチャンスになりますが、違う面に乗ったり、グリーンを外すと難しい状況になります。ショットの精度が想像以上に求められます」
世界レベルの高いショット力がないと、オーガスタは攻略できない。「だからこそ松山選手は強いんです。アイアンショットのキレ、目標に近づける能力が非常に高いですから。ショットに関してはマスターズ向きだと思います」。今年で15回目の出場。今季すでにトップ10に2度入るなど、好調さも加えて優勝候補の一角に推す。
2度目の頂点に立つカギはパッティングという。「松山選手はパットが入っている年と入っていない年があります。ショットがいいから惜しいパットも多く感じるのですが、やはり優勝しているときはいいパットを入れていました。松山選手自身のパットの状態だけでなく、グリーンコンディションとの相性も大事になります」。
藤田が初めてマスターズに出場したときのあるエピソードを引き出す。事前の練習ラウンドで出場経験のある石川遼と一緒に回った。「石川選手が『藤田さん、あまりグリーンを真剣にやらない方がいいですよ』っていうんです。私は初めてだから入念にチェックしたいのに、と思っていたのですが、初日になって言っている意味が分かりました」。
大会前週は“一般営業”のようなスピードで、開幕が近づくにつれて朝2回、夕方2回と刈り込みをしてどんどん速くなる。「初日になると練習日と別物のグリーンでした。硬くて速くて。練習日の速さに合わせちゃうと、初日からビビッて打てなくなります」と振り返る。
日に日にグリーンの状況が変わることは、松山も熟知している。ただ年によって気温や雨量の差で微妙に仕上がりが変わるという。「今年のグリーンコンディションと松山選手のコンディションが合った時には、優勝争いにグッと近づけると見立てています」。5年前の日本中を感動させたマスターズ制覇。当時は無観客だったが、今度は多くのパトロンと一緒に喜びを分かち合う姿を見せてもらいたい。
解説・藤田寛之
ふじた・ひろゆき/1969年6月16日生まれ、福岡県出身。92年プロ転向。国内ツアー通算18勝。2012年に43歳で賞金王を戴冠。マスターズは11年、13年の2度出場経験がある。24年の「全米シニアオープン」2位を足掛かりに、昨年は米シニアのPGAツアー・チャンピオンズにフル参戦。葛城GC所属
