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自分なりの走り方で勝利したA・スコット【舩越園子コラム】

自分なりの走り方で勝利したA・スコット【舩越園子コラム】

配信日時:2016年3月7日 12時11分

 しかし、パットのグリップを工夫したのはマキロイだけではなかった。今週、上位に絡んだ選手の多くが個性的なパターの握り方をしていた。ダニー・ウイレットはマキロイ同様、左手を下にした握り方。何に対してもユニークでアグレッシブな変化を求めるフィル・ミケルソンに至っては、「手で操作してしまう動きを抑えてくれる」クロウグリップでショートパットを、「自分のフィールをより一層活かしやすい」コンベンショナルグリップでロングパットを、という具合に距離次第で握り方を変えていた。

 偶然か、それとも必然か、サンデーバック9の優勝争いの顔ぶれは、パターをユニークなスタイルで握る、いやいや「握り始めた」選手ばかりになった。

 パット・イズ・マネーと言うように、パットがスコアリングの決め手になることは疑う余地もない。だが、この4日間の日々の流れ、そして最終日終盤の大詰めに、本当にモノを言ったのは、パットのグリップ方法だったのかと問われれば答えは「ノー」。最後にモノを言ったのは、試合に挑む気持ちだったように思えてならない。

 終盤のリーダーボードの最上段は2013年にオーストラリア人として初のグリーンジャケットを羽織ったスコット。その下のワトソンは2012年と2014年にマスターズで2勝を挙げた選手。ウイレットは今年のマスターズウィークが第1子誕生と重なりそうなため、自身2度目のマスターズを「おそらく欠場する」と今大会で発表したばかり。ミケルソンはマスターズ3勝。マキロイはグランドスラム達成のためにはマスターズ優勝が悲願。

 4月のマスターズに向かって自分なりの走り方をしていきたい――そんな想いを胸に秘めた面々が、3月のこの時期、世界選手権シリーズの大舞台で勝利を競い合ったことは、グリップ方法のおかげもあるにはあったが、彼らの強い戦意がそうさせたのだと思う。

 屈指の難ホール、ドラルの18番。ティショットを大きく右に曲げたスコット。「たくさんの木々がライン上」にありながら、必死の思いでグリーンを狙って打ち出したセカンドショット。彼のボールが池に落ちそうで落ちず、グリーン左の土手に留まったことは「本当にラッキー」(スコット)ではあったが、そこには勝利への執念が漂っていた。
日程 2016年3月3日-3月6日賞金総額

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