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233試合目の初優勝を支えたもの【舩越園子コラム】

233試合目の初優勝を支えたもの【舩越園子コラム】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2020年10月19日 12時05分

そんな中、最終日にスコアをぐいぐい伸ばし、首位に浮上したのはコクラックとシャウフェレの2人だった。コクラックは35歳の中堅ながら米ツアー未勝利で、シャウフェレは米ツアー通算4勝の26歳。若さと経験はシャウフェレ優勢を示していたが、優勝争いの大詰めは、どこからどう見てもコクラック優勢だった。

ラフからラフへ渡り歩いたシャウフェレがボギーを喫した16番(パー5)でコクラックが拾ったパーは見事だった。シャウフェレがなんとか2打目でカラーに乗せた18番(パー5)で、ピン6メートルに付けたコクラックのセカンドショットは、これまた見事だった。シャウフェレがカラーから3パットした姿を傍目に、コクラックは堂々とバーディパットを沈め、米ツアー入りから9シーズン目にして、ついに初優勝を挙げた。

コクラックはカナダ生まれの米国人。故郷オハイオ州ではジュニア時代から天才ゴルフ少年と呼ばれ、高校時代も大学時代も数々のタイトルを総なめにした。2008年にプロ転向し、下部ツアーを経て12年から米ツアー参戦開始。パットのうまさには定評があり、これまで何度も優勝争いに絡んだが、肝心な場面でパターがさえず、パットは良くてもショットがさえず、惜敗を繰り返してきた。

しかし、今大会では終始、自信にあふれた表情を見せ、もっとも大事な最終日にパターもショットも絶好調だった。「ゲームプランはきわめてシンプル。フェアウエイを捉え、パットを沈めるのみ」と彼は冷静に振り返っていたが、「コクラックのパットは高速グリーンになればなるほど威力を発揮する」と米ゴルフ解説者は感嘆の声を上げていた。

「これまで何百万回も優勝争いに絡み、勝てなかったけど、僕はいつか必ず勝てるはずだ、その力はあるはずだと信じてきた」

駆け付けた父親とうれしそうに抱き合った姿に、歯を食いしばって歩んできた10年近い日々の苦労が想起された。ラスベガスのカジノホテルMGMのブランド・アンバサダーを務めるコクラックが、このラスベガスで初優勝を飾ったことは運命の女神の粋な計らい。

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