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全米オープンを制覇したデシャンボーが思わず泣いた本当の理由【舩越園子コラム】

全米オープンを制覇したデシャンボーが思わず泣いた本当の理由【舩越園子コラム】

配信日時:2020年9月21日 12時00分

その昔、「もっといいスコアで回るためにはどうしたらいいか?」「最も効率的なゴルフをするためにはどうしたらいいか?」と思案したデシャンボーは、自分なりの研究や分析を重ねた末、同一レングスのアイアンを使い始めた。

「そのとき母は味方してくれたけど、父は『バカげているからやめろ』と言って大ゲンカになり、以後、長い間、僕と父は口も利かなくなった」

だが、デシャンボーは「自分の分析は正しい。自分が出した結論は正しい。それが正しいことを実証したい」と思った。実証することが、彼の何よりのモチベーションとなり、ゴルフを続ける意味になった。

2015年「全米アマ」を制覇した翌年の2016年にプロ転向。独自の科学を主張してユニークな取り組みばかりを次々に披露するデシャンボーを、米メディアは皮肉を込めて「狂った科学者」と呼び始めた。が、その後も彼は独自の理論で独自のパッティング・スタイルを編み出し、独自のスイングでドライバーを振り、「僕の科学」を打ち出し続けてきた。
今年6月、コロナ禍の中で米ツアーが再開されたとき、デシャンボーは20ポンド(約9キロ)も体重を増やして別人のような筋肉隆々の姿で登場。ドライバーで軽々360ヤード、いや370ヤードを飛ばす異次元のゴルフは世間を驚かせたが、彼は人々を驚かせたかったわけではなく、目立ちたかったわけでもなく、「ゴルフにはいろんなスタイルがあることを実証したいと思った」。

ゴルフ界には長年、「筋肉隆々はスイングを阻害する」とか、「ゴルフはパワーではなく小技だ」等々、さまざまな「定説」がある。もちろん、そうした「定説」にはそれなりの根拠があり、実証もされている。

デシャンボーは、そうした「定説」を否定したかったわけではないが、「別のゴルフ、僕のゴルフ、いろんなゴルフがあることを実証したいと思った」。

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