独自の物理的知識や分析に基づいてゴルフをするデシャンボーは「mad scientist(狂った科学者)」「天才科学者」などと呼ばれているが、いつだったか彼がこんなことを言っていた。
「僕は天才じゃない。子供のころは成績が悪くて、他の子供に追いつくためにみんなの何倍も何十倍も必死に勉強した」
その姿勢をプロゴルファーになった今でも保ち続け、不調を好調へ、苦悩を喜びへ、自力で変えるべく、一心不乱に邁進する。デシャンボーの強さは、そこにあるのだと思う。
今大会の開幕前、デシャンボーの発言がまたまた大きく取り上げられた。ゴルフルールが大幅チェンジになる19年1月からは「全米オープン以外ではピンフラッグを抜かずに立てたままパットする」と彼は言った。それは、フラッグスティックの素材と太さの関係からボールを弾き返す確率を割り出して語った言葉のようで、真偽のほどは不明。
だが、そんなことを公言できるということは、すでにデシャンボーが新しいルールを学び、あれこれ研究分析する努力を行なっている何よりの証しと言える。堂々と持論を唱えるデシャンボーの姿が奇異に見えることはあるだろう。だが、自分と自分の論理を100%信じ、何も恐れず前進していくデシャンボーの「信じる力」は素晴らしい。「自信」とは、そういう力のことを指すのだろうと頷かされる。