単独首位で迎えた最終ラウンドは、その努力を試す場面の連続だった。9番でダブルボギーを叩いてリードを失い、残り8ホールのところで一度追い抜かれる。何度も諦めかけたが、その度に意識したのはオーガスタへの執念と、周りからの期待。ナショナルチームの先輩の金谷拓実や、家族や恩師からの言葉も頭をよぎる。ドバイの会場にも、中島の応援に日本人のファンがやってきていた。
「落ち込んでいる場合じゃない。こんなところで、終わっちゃいけない」。
気持ちを奮い立たせた終盤は、「ゾーンに近いところでゴルフができていた」とただ夢中だった。プレーオフの2打目、それまでバンカーに入れていた18番のティショットをフェアウェイに置き、6メートルのバーディパットをカップイン。力強くこぶしを振り下ろした姿に、「ZOZOチャンピオンシップ」で優勝した松山英樹の姿を思い出した。
「コースに出たらたくさんの人が応援してくれて、いい意味でギャラリーからプレッシャーと、ここに打っていけという雰囲気を感じる。そのなかでいいショットが打てて、パットが入ってくれたと思います」と、ZOZOの優勝会見で語った松山。重圧にもなり得る周囲の期待、それを力に変えるのにも、きっと強さが必要だ。
自信を持ってプレーすれば、アジアアマで勝てる確信はあった。それでも、プレッシャーが消えることはない。

