<メイバンク選手権 最終日◇1日◇クアラルンプールG&CC(マレーシア)◇6536ヤード・パー72>
3カ月前、山下美夢有は涙を流した。「AIG女子オープン」(全英)に米ツアーでは初めてディフェンディングチャンピンとして臨みながら、まさかの予選落ちをした。「いままでで一番、言葉にできないくらい悔しかった。結果的には良くなかったけれど、“一人じゃない、周りのサポートが気持ちを支えてくれている”と感じられた」。そして、2度目の挑戦となった今大会で、タイトルを防衛した。
昨年は最終日に8打差を追いつき、三つ巴のプレーオフを制して優勝した。今年は2日目に単独首位に立つと、2打リードの単独首位で最終日に入った。リュー・ヤン(中国)が初優勝をかけてチャージをかける一方、山下はその座を譲らなかった。最後は「微妙な距離」と表現した3メートルのウイニングパットを沈め、両腕を大きく突き上げた。
大会開幕前に、前年覇者として迎えることへの緊張はないと言い切っていた。「いままでディフェンディングチャンピオンとして迎える大会は経験していなかった。経験って言ったら、言い訳になるかもしれないけれど、(全英は)コンディションもショットもあまり良くない状態。プレッシャーというより自分自身のミスでした」。
米ツアー本格参戦2年目の今年は、出場する試合を慎重に選んでいる。「コンディションを考えてスケジュールを組みながら、出る試合にいいフォーカスができるように、とやっています」。先週の韓国大会はスキップ。ここに照準を合わせてきた。
2019年の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)プロテストに合格後、日本ツアーでは今年「ソニー 日本女子プロ選手権」を含めて通算14勝を挙げている。そのなかで連覇したのは、22、23年の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」のみ。6度目の挑戦だった。同一大会での複数回優勝も、意外にもそのリコーカップのみだ。
そのなかで、米ツアーでは2度目の挑戦で、連覇を達成した。広くはないフェアウェイに、距離感を合わせなければならないアップダウンがあるコース。それは自身の強みが生かせると分析し、「コースが大好き」とも言っていた。
米ツアーにおける日本勢の大会連覇は、1987、88年の「サンディエゴ 稲盛クラシック」での岡本綾子以来、38年ぶりの快挙となった。「連覇することができて“so happy”」。全英で流した悔し涙は、確かに山下を大きく成長させていた。(文・笠井あかり)
