畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子、原英莉花など、2026年は過去最多となる日本勢15人が出場する米国女子ツアー。その動向にも注目だが、試合以外や海外勢のこぼれ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?
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昨年の米国女子ツアー最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」に、日本でお馴染みのキャラクターが現れた。株式会社サンリオ(以下、サンリオ)のクロミとマイメロディ。会場に姿を見せるとすぐ来場者に囲まれ、一緒に写真を撮ったりハグに応じたりなど、大人気だった。
サンリオといえば、若手女子ゴルファーの成長の機会をサポートするツアー外競技「マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー」に特別協賛し、「サンリオスマイルゴルフトーナメント」を開催するなど、日本女子ゴルフ界と関わりがある。そして昨年、米ツアーと複数年のパートナーシップを締結した。
なぜサンリオは米ツアーに関わっているのか。同社に話を聞いた。
「欧米ではハローキティは広く知られていても、『サンリオ』という企業ブランド自体の認知は、まだ伸ばす余地があります」と話すのは、同社執行役員デジタルメディア&スポーツライセンス本部兼グローバル戦略室の山本太郎氏。北米をはじめ各地域でサンリオのブランドを知ってもらい、ライセンスビジネスなどの成長につなげるため、様々な取り組みを進めているという
欧米やアジアなど世界各国の選手が参戦し、米国を中心に世界中を転戦する米ツアーは、サンリオにとってまさにピッタリのコンテンツだった。一方、ツアーも「もっとファミリー層に来てもらうこと」に注力しており、子どもから大人まで幅広い層に親しまれるキャラクターは、ツアーを盛り上げるうえですごく魅力的な存在。パートナーシップの成立は双方にとって理にかなっていた。
さらに、北米のスポーツ団体と事業するという点でも、今が絶好のタイミングだった。サンリオのライセンス事業は近年、北米を中心に急成長しているからだ。
その背景について、デジタルメディア&スポーツライセンス本部スポーツビジネスプロデュース課の金子圭太朗氏が語る。「2013年頃を境に、弊社のライセンスビジネスは長く厳しい環境に置かれていました」。サンリオの象徴的なキャラクターであるハローキティのみに頼りすぎた結果、ブランドポートフォリオが固定化してしまったと分析する。そこで、続々とハローキティ以外のキャラクターブランディングにも注力し、事業を見直した。
転機となったのはデジタル分野。「YouTubeとゲームアプリですね。『Hello Kitty and Friends Supercute Adventures』という、YouTubeで展開しているアニメコンテンツがありまして。コロナ禍で外出が制限された時に、デジタルコンテンツを子どもたちがけっこう見てくれました。そして、だんだん日常が戻っていったと同時に、実際に体験したいという需要が高まりました。ユニバーサル・スタジオ・フロリダなど、アメリカにはサンリオグッズを扱うショップやカフェがありますし、ライセンス関連でコラボレーションをしたいという問い合わせも増えました。そういった需要に応えることができ、人気が回復してきた、という流れです。(2024年に)ハローキティが50周年を迎えたことも追い風となりました」
大リーグのロサンゼルス・ドジャースとの取り組みに加え、最近ではF1アカデミー(女性ドライバー限定の育成レースシリーズ)や様々な大リーグや他のスポーツチームとのコラボレーションイベントなど、スポーツ分野での展開も加速している。
米ツアーでは今後、ジュニアクリニックやブース出展を通じて、来場者とキャラクターが交流する機会を提供する予定。「ゴルフ経験の有無にかかわらず、その魅力に触れるきっかけを作ることが、サンリオのパートナーとしての役割だと思っています」と、金子氏は言葉に力を込めた。
サンリオが国内外の様々なスポーツ団体やアスリートを支援するのは、『One World, Connecting Smiles. (一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく)』というビジョンがあるから。人と人を『みんななかよく』つなぐことが、その根底にある。
日本発祥のキャラクターが試合会場を盛り上げ、日本人選手が活躍する――。そんな“アツい”光景が今年、実現することを願う。(取材・文/南しずか)