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稲見萌寧銀メダル立役者の一人 服部道子が全米を制した16歳の夏【名勝負ものがたり】

稲見萌寧銀メダル立役者の一人 服部道子が全米を制した16歳の夏【名勝負ものがたり】

配信日時:2021年8月10日 18時00分

日本では女子アマ連覇の天才少女と騒がれていたが、さすがに全米女子アマ会場では服部を知る人はいない。8月のピッツバーグは暑く「目の前のことをこなすだけで必死。考える暇もありませんでした」と、プレーに集中し、151でストロークプレーを終えた。すると、オハイオ州立大のシェリル・ステイシーと同スコアでメダリストとなり、マッチプレーにコマを進めた。

マッチプレーも順調に勝ち進み、決勝へ。相手はステイシーだった。炎天下、36ホールの決戦が始まった。

「(ステイシーは)ものすごくフェアな感じの人でした。日本からひょっこりやってきた私に対しても、人としてきちんと接してくれた。いいショットはいいショットだと認めてくれるような。だからものすごく心地よいフェアなプレーができました。お互い『いい試合をしようね』という雰囲気で、不思議な心の余裕がありました。気が付けば、相手のことも応援している自分がいました」と、いう好勝負。「いつまでもやっていたい気がしていました。ベストなプレーを引き出してもらったような」と振り返る決勝だった。

夢中になっているうちに、5&4の大勝でビッグタイトルを手にした。アンジュレーションがある硬いグリーンに、ロングアイアンで高いボールを打って行けるショットが勝因だった。海外経験豊富な師匠、森道應仕込みの武器だ。

優勝の瞬間は、喜びよりもホッとした気持ちのほうが強かった。何しろ、炎天下、試合だけでも6日間。練習ラウンドから数えると8日間の長丁場に疲れ果てていた。

優勝スピーチは、応援に駆け付けたホストファミリーが一緒に考えてくれて英語でこなした。誰一人ゴルフをしないこのホストファミリーで過ごした時間も、勝因の一つだったろう。試合が終わると、同世代の娘3人がいる家で、映画を見たり、ガールズトークをしながらリラックスして過ごす。そんなホッとする時間が、翌日への鋭気になった。

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