一般的なゴルフ場の練習場は1カゴあたり20~30球がほとんど。アマチュアは限られた球数でスタートを迎えることになるが、国内シニアツアーでも、朝の練習場で球数制限のある試合がほとんどだ。5月に行われた「すまいーだカップ」は20球に制限され、距離も140ヤードまで。長いクラブは鳥カゴという状況だった。そこで藤田寛之がどんな練習をしてスタートするのか密着した。
スタートの1時間30分ほど前にゴルフ場に到着した藤田。ホテルではしっかり体が動くように1時間ほどストレッチをしてきたという。ラウンド前の練習の位置づけはウォーミングアップ。多くの球を打てる場合は、その日の球筋の傾向を見たり、新しく替えたクラブを試したりもするが、球数制限がある場合は、スムーズにスタートできるように体を動かすことを第一にする。
レギュラーツアー時代は、スタート前の練習でもルーティンがあった。58度のウェッジから始まって、1つ飛ばしで50度、9番アイアン、7番アイアンなど奇数番手を手に取り、ドライバーまで打つ。そして3番ウッドから打たなかった偶数番手を打って、6番、8番、PW、54度58度で締める。すべてのクラブを打つようにしていた。
球数制限がある場合、打撃練習場に行く前に重量のある素振り棒で鏡やガラスの前で自分がスイングで意識していることを確認する。「いまは手でクラブを上げずに、体を大きく動かす意識をしています」と体がしっかり回転しているかを素振りでチェック。体の回転重視のためスイングはややフラットのプレーンになる。
そして練習場では、58度のウェッジから50ヤード、70ヤードと2球打つ。続いてピッチングウェッジのフルショットで2球。そして8番アイアンに持ち替えて、140ヤードを打つコントロールショットで6球。この時も体の回転を意識している。
続いて、140ヤードをフルショットできる最上のクラブ、9番アイアンで4球。50度のウェッジで3球、6番アイアンのハーフスイングで2球。最後に54度で1球打って、計20球。8番より下の番手はすべて打ったことになる。
その後、鳥カゴに移動して、ドライバー5球、5番ウッド2球、4番ユーティリティ2球と少ない球数の中で3本のクラブを打った。ボールの行方は見えないが「球筋というより、タイミングや全体のバランスを重視しています」という。
20球+鳥カゴの9球は、いずれも「体の回転を大きく意識する」という動きを持ち続けている。1つの番手で長く打つのではなく、多くのクラブを打つ。コースで初めて打つことを避ける狙いもある。
「球数制限がある場合は、すべてのクラブを打つのは難しいですが、出来る限り多くのクラブを打ちたいです。また素振りを多く取り入れて、クラブを振る感覚を高めます。もし自分が意識している動きや形があるなら、全体を通して意識したほうがいいですね」
この後は、ショートゲームエリアで転がしやピッチエンドランなどのアプローチを行う。練習グリーンではロングパットでその日のタッチをつかんで、最後は1メートルほどのショートパットで自分が狙ったところに打ち出せているかを確認してティイングエリアに立った。
できるだけ多くのクラブを打ち、その間に素振りを挟むのが藤田流だった。打てるボールが少なくても素振りを織り交ぜながら体を動かして、イメージを作るのは参考になりそうだ。
