青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太が好調な選手や注目選手の強さのヒミツを深掘りしたり、女子ツアーでの流行など現場からのホットな情報をお届けする。今回はショットメーカー・安田祐香の練習法の意味を探った。
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昨年の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で河本結、中村心とのプレーオフを制して通算2勝目を挙げた安田祐香に注目。今季は「Vポイント×SMBCレディス」で8位タイに入るなど、ディフェンディング大会に向けて調子を上げている。そんな安田がショットの安定感を高めるために取り組んでいる練習があった。
足元にターゲットを示すスティックを置き、ボールの奥側にスティックを挿してボールを打っている。後方から見ると、差してあるスティックはドライバーのシャフトの傾きとほぼ平行。正面から見るとボールよりも左(目標方向)の位置にある。
この練習について大西コーチは次のように説明する。「アマチュア時代からショットの精度が高い安田選手ですが、悪くなるとインパクト時に手元が浮いてしまうので、それが出ないようにするための練習です」。
2年ほど前から大西コーチが指導しているが、手元が浮かないスイングに取り組んでいる。「手元が浮くとフェースが開いてプッシュアウト、その反動でフェースを返しすぎて、巻く球が出やすくなります。目の前に障害物を置くことで『手元を低く振る』と意識づけをしています」。練習場で打つ安田は頭の高さが変わらず、安定したショットを連発している。
理想とするのは、ダウンスイングからインパクトにかけてアドレス時と同じくらいの手元の高さでクラブを入れること。「手元が体の近くを通るので左ワキも閉まって振り抜きも低くなり、きれいなイン・トゥ・インの軌道で振れます。もともとショットの精度は高いので、悪い動きが出なければ、ほとんど狙ったところに打てます。年間通して安定感を出すために日頃からやっているものです」と、不調になってから修正するのではなく、日々の積み重ねを重視している。
スティックをボールの左側に刺すのも大きなポイントだ。「安田選手の場合、手元が浮くと下半身も浮いてしまい、右に体重が残りやすくなります。ボールより左側にスティックを刺すと、より低く振り抜く意識を持てるので、手元が浮かず、左足にしっかり体重を乗せることができます。手元が浮かず、下半身の力が使える一石二鳥の練習です」。手元の意識を変えるとスイング全体の動きも変わってくる。派手さはないものの、かなり効果の高い練習である。
手元が浮かなければ、軌道が安定してミート率は高くなり、左ワキも開かずに下半身の力を使った効率のいいスイングもできる。フェードヒッターよりもドローヒッターの方が手元は浮きやすくなる。ドローヒッターでプッシュアウトやチーピンに悩む人は地面の上からボールを打てる環境や練習器具を使って、安田のように“障害物”を置いて練習すると安定感が増してくるはずだ。
■解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務め、24年からは安田祐香のコーチングも行っている。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。大西翔太プロデュースの練習器具「Sho_izm(ショーイズム)」(朝日ゴルフ)が全国のゴルフショップにて販売中。豊富な知識を生かして、今年はテレビ解説も行うなど活躍の場を広げている。
