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「下手になりすぎていて…ショックでした」 練習再開から復帰までの“現実”と“葛藤”【小祝さくらが明かす“ケガとの8カ月”】

国内女子ツアーの2026年開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で復帰を果たした小祝さくら。その試合前にケガと向き合った8カ月間を本人が明かした。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2026年3月6日 12時00分

不安、焦り、葛藤を乗り越えたどり着いた沖縄のコースで、小祝さくらは復活への第一歩を踏み出した。
不安、焦り、葛藤を乗り越えたどり着いた沖縄のコースで、小祝さくらは復活への第一歩を踏み出した。 (撮影:米山聡明)

ツアー通算12勝の小祝さくらにとって、2025年はこれまでに味わったことのない時間を過ごすことになった。左手首の『TFCC損傷(尺骨側手関節三角線維軟骨複合体損傷)』により、1ラウンドのみのプレーで棄権した7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」を最後にツアーを離脱。手術に踏み切った。それから8カ月。26年の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」でツアーに戻る直前の小祝にインタビューを行い、ケガとの戦いの日々を振り返ってもらった。後編は手術から復帰に至るまでの葛藤。(取材/構成・間宮輝憲)

【写真】ギプスが痛々しい… 小祝さくら入院中の一コマ

■TFCC損傷と診断されて

痛みが出た当初から腱鞘炎と診断され続けた左手首痛の原因は、4件目に訪れた病院で『TFCC損傷(尺骨側手関節三角線維軟骨複合体損傷)』と結論づけられた。医師から告げられたのは『すぐに手術を』。ゴルフを続けるため、小祝はメスを入れることを決断した。

「最初、TFCC損傷って言われた時は、“何それ?”って感じで。何か手首に異常が起きてるんだなくらいのとらえ方でした。この痛かった時期は、いろいろ考えました。ゴルフをやめないといけないのかなとか、もう無理なのかなとか。でもすぐに割り切って。人生そういうこともあるかなって」

周囲の人々が心配し、バタバタと今後の道を探るなか、本人が一番冷静だったとマネジャーが振り返るほど。すでに覚悟は決まっていた。当時のことを「術後の痛みはやばかったですね。それまで私生活では痛くなかったんですけど、(術後すぐは)痛みで寝られませんでした。想像以上に痛かったし、(体内で縫合した)糸が人よりも溶けるのが遅かったみたいで、練習の再開時期も遅れました。それでも今は手術をしてよかったなと思います」と小祝は思い起こす。

リハビリ期間中は、「やることもなかったし、今までできなかったことをやろうかなと思っていました」と、買い物などにも足しげく通った。ただ、それで満たされるものは少なく、むしろ「無駄遣いをしちゃった。自分で賞金を稼いでるわけでもないのに、服を買ったりしてもいいのかな? とか考えたり。すぐには買わず、本当に欲しいものだけにしました」と、“罪悪感”のほうが大きかったとも話す。

クラブを握れるようになったのは12月に入ってから。ただ、ギプスを巻き続けてきた手や、体にはもちろん変化も生じていた。

「筋力もゼロと言っていいくらいまで落ちてました。(故障箇所は)皮1枚という感じでビックリ。ダンベルを持っても力が入らない。すべてが初めての経験で、この時にもう2度と手術はしたくないと思いました。ボールを打っても想像以上に当たらないし、ショックでしたね。飛ばないし、インパクトも弱い。下手になりすぎていて…」

痛みでクラブが振れなかった時のことを思うと大きな進歩ではあるが、それでも“下手になりすぎている”という現実をすぐに受け入れることはできなかった。「心配性ではあるので、家に帰ると“この先どうなるのかな?”とか、いろいろと現実的なシチュエーションは考えました」。前編で本来の力と比べて“10%未満”だったと振り返った時期は、葛藤の日々でもあった。

■ケガがもたらした変化

もともと、痛めた右手首をかばったことが、左手首の大ケガにつながった。だが、今はこうも考えている。「右手を痛めていなくても、いずれなっていた(左手首をケガしていた)可能性が高かったと思います。いつかは負担がかかってなってたんだろうなって」。そのタイミングが去年だっただけで、キャリアを続けるうえで必要な治療だったとも言える。その気持ちは、こんな言葉からもうかがえる。

「(ケガには)絶対に何か意味があるものだったと思う。人生いろんなことが起こる。今までケガなく、うまくいっていたことがありがたいと思えました。急にこういうことも起こるんだなって」。人間万事塞翁が馬。そんな言葉を痛感するできごとになった。

「(ゴルフの考え方が)ちょっと変わりましたね。楽しい。ゴルフがさらに好きになりました。もっと頑張りたいって強く思うようになりました」

今はこんなことを考えながら、沖縄のコースでプレーしている。そしてブランクはあっても、選手としてコースに戻る以上、今季の目標に掲げるのは「優勝」だ。「夏場あたりに優勝争いができていれば自分のなかでは最高の出来栄えですね。それができているのが完璧に近い理想像です。まずは夏場に優勝争いをしていることを目標に」。開幕戦はそこに向けた第一歩になる。

ケガの最中も、「たくさんの方が連絡をくれたし、ファンの人たちからもメッセージをたくさんいただきました。また応援するのを楽しみにしてるとか、オフのイベントにも足を運んでくれた方もたくさんいて頑張ろうって思えました」と声援は力になったという。たくさんの人たちに支えられ迎えた春だ。

「ひさしぶりなので、試合勘は忘れてるし、緊張もするんだろうなって自分で想像してます。今まで当たり前だったものが、そうではなくなった。ファンの方たちに対してもですが、試合に出られることにも感謝しながら、そういった気持ちでプレーしたいです」

その復帰戦初日は3オーバー・72位タイという結果だった。だが巻き返しへ迎えた第2ラウンドでは、ホールインワンも記録するなど、ショットのキレが戻ってきていることを十分に予感させた。ここから完全復活へ。ゴルフができる喜びをかみしめながら、夏場をメドにさらなる上昇気流に乗っていく青写真を描く。

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