<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 2日目◇23日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6520ヤード・パー72>
ツアー通算28勝を誇る元賞金女王の“匠の技”に、スタンドのギャラリーがどよめいた。予選カットライン上のトータルイーブンパーで迎えた最終18番パー4。今大会を最後に引退するアン・ソンジュ(韓国)のフェアウェイからの2打目はグリーン下の刈り込んだラフまで転がった。ピンまで約25ヤード。ボギーならば予選落ち。絶体絶命のピンチからが見せ場だった。
「ありがとうございます。素晴らしかった? 私もそう思います。ボギったら終わりだなぁと思ったけど、うまく寄せることができました。パーパットは80センチくらい。優勝パットより緊張しました。ひと安心です」
歩測もしなかったという3打目のアプローチをしっかりピンに寄せて、千金のパーセーブ。この日、韓国から応援に駆けつけてくれた男児と女児の双子の子供たちにも届けた予選通過。「子供には『お母さん、優勝したの』と言われました」と笑い、同じ組で回った2学年上で、これまで何度も優勝争いを演じてきた横峯さくらに「今までありがとうございました」と感謝のハグをしたときは「涙が出そうになった」としんみりしていた。
全選手のホールアウト後は、クラブハウスの2階レストランで仲間たちによる引退セレモニーが開かれた。今週はテレビ解説でコースを訪れている上田桃子、横峯とともに今週同組だった木戸愛、申ジエ(韓国)、笠りつ子、青木瀬令奈、永井花奈、米ツアーからスポット参戦の西村優菜、穴井詩らからねぎらいの拍手を送られた。さらに、決勝ラウンドに合わせて来日するはずだった大会アンバサーのイ・ボミ(韓国)も予定を変更して、サプライズで登場した。
2023年に日本ツアーから引退したボミのラストゲームも、この大会だった。その試合は残念ながら予選落ち。今回と同じく2日目の競技終了後に行われた引退セレモニーは涙のお別れとなったが、ソンジュは43位で決勝ラウンドに進出。関西国際空港からコースに直行したボミも「話を聞いたときはびっくりした。私の最後は予選落ちだったけど、予選通過はすごいです」と拍手を送り、ハグをかわした。
4度の賞金女王に輝いた希代のプレーヤーの日本でのプレーはあと36ホール。「きょうは朝起きたときに腰が少し痛くて、大丈夫かなと思っていた。18番は残り164ヤードで5番ユーティリティのコントロールショットだったので、あそこまで転がるとは思わなかった。ホント、よかったです。15番のパー5で1メートルを外して、もうここしかないところでバーディが取れました」。
ボギーが2つ先行し、初バーディは2メートルを沈めた17番パー3。最後の2ホールに、圧倒的な強さで日本ツアーに君臨していた元女王のすごみが凝縮されていた。(文・臼杵孝志)
