<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 事前情報◇21日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6520ヤード・パー72>
日本ツアー通算28勝のアン・ソンジュ(韓国)がラストゲームを迎える。2024年8月の「NEC軽井沢72」以来となる通算256試合目。圧倒的な強さで4度の賞金女王に輝いた39歳は、今回の決断についてフル参戦していたころと変わらない流ちょうな日本語で説明した。
「戦える力がなくなった。若いころは実力もあったと思うし、飛距離も出ていた。でも、今は週に5回、トレーニングをやっても、1日しかもたない。飛距離も30~40ヤードくらい落ちたし、チャンスが作れなくなった。限界が来たかなと…。最後に優勝したコースで最後の試合をできるのは、すごくラッキーだと思います」
13日に投稿した自身のSNSでは『現役引退』としていたが、正しくは日本ツアーからの引退だという。永久シードを持つ韓国ツアーには今季はここまで19試合に出場し、来年以降はシニアツアーをメーンにするプランもある。「最初はインスタに日本語であげたけど、久しぶりの日本語だったので…。『まずは日本ツアーから引退します』でした。韓国の人からも『引退するの?』と驚かれた。誤解させてしまいました」と申し訳なさそうに“訂正”した。
18年大会で通算28勝目となる年間5勝を挙げて、4度目の女王に大きく前進した。思い出深い舞台での日本ラストゲームとなるが、その橋渡し役を務めたのは、大会を主催する延田グループ所属で大会アンバサダーを務めるイ・ボミ(韓国)だった。
「2カ月前くらいに最初にボミに連絡して、『推薦をいただけたらありがたいんだけど、お願いできるかな』と頼みました。そのときはまだ引退は考えていなかったけど、2週間くらい前に最後の試合にしようと」。1歳年下の後輩の尽力もあって実現したメモリアルゲーム。感謝の思いを胸にティイングエリアに立つ。
ソンジュは韓国ツアー通算7勝の実績を引っさげ、2010年に日本ツアーに主戦場を移した。初戦となったシーズン開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」でいきなり優勝。その後も勢いは止まらず年間4勝をマークし、韓国選手では初の賞金女王に輝いた。翌11年にも4勝、14年と18年には5勝を挙げて賞金ランク1位を獲得したが、コロナ禍でシーズン開幕が大幅に遅れた20年以降は日本ツアーを離れた。
プライベートでは14年に結婚し、21年には男児と女児の双子を出産。日本ツアーには産休制度を利用し、22年からの復帰を考えていたが、子育てに追われている間に36カ月の産休期間が過ぎていたことが判明し、シードを失った。24年に出場した2試合はいずれも主催者推薦だった。
「そうですね。あれは勘違いというか、うっかりしていました。後悔はもちろんあります。永久シード(通算30勝)を取れたかどうかは分からないけど、一生懸命に練習して頑張れば1つは勝てたかな。でも、それも運命だと思っています」
うっかりミスの代償は大きかったが、かけがえのない家族の成長をすぐそばで見守ってきた。5歳になった子どもたちはママの雄姿を見届けるために、初日から会場に駆けつける。「今週は戦いとは思わない。最後の試合なので頑張って、予選を通ることができたら最高かな。予選落ちしても楽しくやりたい」。初来日から17年目。完全燃焼の元女王に悔いはない。(文・臼杵孝志)
