ゴルフのトーナメント会場は“ネタの宝庫”。ただ、そのすべてを伝えることはなかなか困難なこと…。そこで現場記者がコースを歩くなか“見た”、“聞いた”もののなかからちょっと気になった1つのテーマ、すなわち“ヒトネタ”をご紹介! 今回は「Vポイント×SMBCレディス」(千葉県)から。
国内女子ツアーは今季3試合目を迎える。各選手が新たなセッティングで開幕戦に臨む中、青木瀬令奈はここにきて、ずらりと並べたシャフトを打ち比べていた。
ショットを放ってはトラックマンの画面とにらめっこし、手書きのメモも取る。熱心にテストを重ねる中、その中には見慣れないシャフトもあった。
マットブラックにイエローのロゴが映えるその正体は、スイス発のシャフトメーカー「TPT」。今週はフジクラの『NX ゴールド』を投入予定だが、それと並行してTPTのシャフトもテストしている。
ブライソン・デシャンボー(米国)やジェイソン・デイ(オーストラリア)らが使用していたことでも知られる同シャフトの特徴は、スパインがない点にある。
スパインとは、主にカーボンシャフトの製造過程でシートを巻き付ける際、巻き始めと巻き終わりが重なる“背骨”のような部分を指す。しかし、TPTは機械で自動化しており、スパインがが存在しない。不規則な振動が抑えられ、シャフトの挙動がより安定する。
さまざまなスペックを試した中で、最も気に入ったのは『Power Range』シリーズの『18Hi』。スペックごとに剛性分布が異なるため、“〇調子”という概念はなく、高弾道の「Hi」と低弾道の「Lo」で選ぶ設計となっている。硬さとしては“R”相当の高弾道タイプがフィットした。
マットブラックの外観からはハードな印象も受けるが、「全体的に少ししっかりしている感じはある」とコメント。「本当に癖がない。変なタイミングで走られる危険が無いので合わせやすい」と好印象で、こうしたフィードバックからも、同社のウリである“挙動の安定性”ががうかがえる。
今回はやや短めの長さでテストしていたためヘッドスピードは出なかったが、「スピン量は適正」だという。2000回転前後という自身の理想のレンジに収まった。今後は通常の長さで再テストを行い、その結果次第では投入の可能性も「あり」とした。
なお、シャフト投入の最終判断は直ドラで行うという。「一番シビアな状況で、タイミングが取れるかを判断している」。開幕時点でセッティングは固まっているものの、シャフトなど、テストは欠かさない。練習場には、選手たちの尽きない探求心が表れている。(文・齊藤啓介)
