白熱のシーズンが終わった国内女子ツアー。今季全36試合を振り返り、大会ごとに印象に残った“1シーン”を紹介する。
■Sky RKBレディスクラシック(5月16~18日、福岡県・福岡雷山ゴルフ倶楽部、優勝:神谷そら)
2025年の女子ツアーで最も“劇的”だった逆転劇を挙げるなら、神谷そらの復活優勝は外せない。ラスト4ホールでのバーディ・バーディ・バーディ・イーグル──4打差をひっくり返したあの終盤は、シーズンでも屈指の名場面だった。
最終日は首位タイでスタートしながら、9番でアプローチを5メートルオーバーしてダブルボギー。続く11番でもOBからのボギーで失速し、金澤志奈に一時4打差をつけられた。誰もが“ここまでか”と感じた展開で、ドラマは突然動き出す。
15番で残り82ヤードを2メートルにつけてバーディ。16番は5メートル、17番はカート道に足がかかるライから4メートルにつけ、3連続バーディを奪った。気づけば差は1打。「プレーオフには持っていきたい」。悔しさと執念が入り交じる時間だった。
そして迎えた18番パー5。年間を通しても数少ない“気持ちよく振れるホール”でドライバーを放つとフェアウェイへ。つま先下がり・左足下がりの残り207ヤードを4Uで6メートルに2オンし、イーグルパットを沈めた。
「入ったら勝つのかな、と思っていたけど、入った後は“どうなったんだっけ?”って。プチパニックでした」。“〇〇〇◎”という締めくくりで大逆転。キャディの齋藤優希氏とハイタッチをかわした。
大会名に“Sky”を冠した今年の一戦。自身の名前“そら”との偶然もあり、本人には不思議な予感があったという。「名前には縁があるんだけどな~と思っていて。勘って当たるんだな、と」。コースそのものは「好きになれない(笑)」と言いつつも、結果は運命的だった。
ルーキーイヤーの2023年に2勝を挙げたが、その後は苦しんだ。2024年は米ツアー予選会にも挑戦し、世界を意識し続けた一年。そして2025年、再挑戦の道筋が再び見えた。「こんなに早く勝てるとは」。久々の勝利で涙を浮かべた姿に、戻ってきた自信と、新しい“そら色”の未来が重なった。
