2024年にツアーを退き、昨年10月に出産した国内ツアー通算16勝で2007年賞金女王の上田桃子。最近は子育て中心の生活を送っているが、パーリーゲイツの特別プロジェクトに加わるなど新しい挑戦もしているという。子育てのこと、ツアーのこと、近況を語った。【取材・文/小川淳子(清流舎)】
■母として1年目「子育ては60点なら合格」
上田の新しいチャレンジが続いている。24年いっぱいでツアーの第一線を退き、昨年10月31日に長男を出産。26年はツアーのテレビ解説などで少しずつ表舞台に戻ってきているが、いずれも「子育てに影響がない程度に」と、優先順位をハッキリつけてのもの。ただ、すくすくと育っている5か月の長男は、母に似て「外が大好き」という強者だという。
「知的好奇心が旺盛で、あちこち見ている。私も外に出るのが好きだし、色々そっくりです。現役時代にはできなかったことだから楽しいです」と全く違うペースの生活を全力で楽しんでいる。
現役の女子プロゴルファーの出産が珍しかった時代とは違い、子供を持つ選択をするプロは年々、増えている。特にここ数年は、試合に出続けるか否かにかかわらず、出産ラッシュと言っていいほどだ。SNSを見ても、子供との様子を誰かがアップすれば、そこに絡むプロたちの中に”ママ友“のような存在が目立つ。そのネットワークも新米ママにとっては心強い。
「めっちゃ色々教えてもらっています。先輩ママや後輩からも」という言葉は、ごく当たり前の子育てだけでなく、プロゴルファーならではの日常の中での子供との付き合い方を含めてのものだろう。
夜泣きなどもほとんどなく「超寝てくれて(ミルクも)たくさん飲んでくれる」と、母の背中を押してくれるような長男との日々の中で、さまざまなことにチャレンジしつつある。
一方で「母としては1年目なので、子育ては60点なら合格だと思うようにしています。わからないことにはトライして経験して工夫していくように」と、肩の力を抜くことも意識している。ゴルフに対してはつねに全力だったが、それは自分中心の仕事でのこと。あくまでも子どもが中心の子育てでは、それが大切だとわかってのことだろう。
■今の女子ツアーは「いろんなキャラがいて面白い」
ツアーからは離れている元賞金女王だが、地元、熊本県で行われた「KTT杯バンテリンレディス」などでのテレビ解説の仕事があることもあり、ツアーは「ほとんど見ています」という。後輩たちの戦いは、どう映っているのだろうか。
「今のツアーは本当にレベルが高い。いろんなキャラがいて若い選手が頑張っていて面白いなと思います。私たちの時代とは違う楽しさが感じられる。昔ほど少し張り詰めたような空気感はないですが、それが時代に合った魅力なんじゃないですかね。もっと伸びていくと思います」と、話す。あえて「ツアー全体の課題は?」と尋ねてみたが、しばらく考えて「あまり思いつかないです」と、前向きな答えが返って来た。
■新しいチャレンジはパーリーゲイツの特別プロジェクト
ほかにも昨年からじっくりと関わってきた仕事がある。長年、契約してきたウエアブランド、パーリーゲイツの特別プロジェクトだ。
プロ入り直後からの契約は20年に及び、その間、上田はずっと様々な形でウエアに対する意見を伝え続けて来た。「1989年からのブランド、パーリーゲイツはたくさんチャレンジをしています。カッコいいけど、機能性も高い、という部分を追求してきたことが、今のパーリーゲイツを支えていると思う。私もずっと色々な意見を言って来ました」
若い選手が契約先に意見を言うには勇気がいる。だが契約には、広告塔としてだけでなく、アドバイザーとしての仕事もあることをよく理解しているからこそ、デザイン、素材、機能性など、あらゆることについてツアープレーヤーならではの話をしてきた。
2025年に丸の内の店舗「THE PERALY GATES FLAG」主催のブランドコンペにゲスト参加し、来場したユーザーと話したのが、今回のプロジェクトの始まりだった。「改めてお客様からのブランド愛や熱量の高さを実感し、自分自身もパーリーゲイツというブランドの本来持つ素晴らしさを感じました。その思いをもっと多くの人に知ってもらうには?と考えたのがきっかけです」と、これまでの蓄積を生かして取り掛かった。
実は、熊本の実家にはこれまでに着用してきたウエアの多くが大切に保管されている。アパレル関係の仕事を持つ父の影響もあってのことだが、今回、それも大いに役に立った。
■こだわり抜いた上田桃子ディレクションが完成
こうして出来上がった上田桃子ディレクション限定アイテム『GOLD RABBIT』第1弾は、4月24日発売のポロシャツ2型。素材選びからかかわった上田のこだわりが随所に光る逸品だ。
「ジュニアの頃、かわいいけど高くて手が届かなかったパーリーゲイツ。その頃のアイテムには、今では使われてない素材やデザインもあるんですけど、今見てもかわいい。昔からパーリーゲイツ好きなお客様の声もあって『一周まわった昔からあるパーリーゲイツらしさも愛してもらえたら』という思いもありました。それで、提案したのが『昔から好きなスタイルを選んで、そこにスパイスを1つ、2つ加えたら』ということだったんです」と、熱く語る。
シンプルだけど飽きない良いものの例えとして「おにぎり」を挙げ、ゴルフウエアの基本であるポロシャツを厳選した。滑らかな糸によるインド綿の生地は、最後の最後まで試行錯誤をして選んだもの。最終的に決定したのは、実は年が明けてからというエピソードもあるほどだ。
パターンも長年定番として愛され続けているものをベースとし、生地に合わせて、衿や裾の形、ボタンの大きさなどを細かく微調整し、普通であれば気づかれないような細部にまで目を光らせたという。パーリーゲイツが培ってきたモノづくりのベースに、プロとしてツアーで戦っていた頃から追求してきたウエアへのこだわりが重なった。
すべてにジュニア時代の思い出、プロとしてツアーで戦う中で自分を表現する手段の一つだったウエアへの気持ち。そしてブランドを愛してくれるユーザーへの思いがあふれる特別プロジェクトは、100枚限定発売。上田直筆のシリアルナンバーが記されたオリジナルネームがついたスペシャル仕様となっている。
プロゴルファー・上田桃子の視点から生まれたパーリーゲイツ【GOLD RABBIT】第1弾の抽選は、4月15日(水)午後12:00まで受け付けている。
