<CAT Ladies 最終日◇23日◇大箱根カントリークラブ(神奈川県)◇6657ヤード・パー72>
終盤までもつれる大混戦を制したのは、吉田鈴だった。これが6月の「ヨネックスレディス」に続くツアー通算2勝目。最後はパー5の3打目を30センチにつけ、ウイニングパットを沈めると両手を上げて喜びを表現した。
試合中の冷静な表情と、優勝を決めた後の笑顔が印象に残る勝利だった。「初優勝の時も涙が出なかったのは、次を向いている証拠だと思う。それが2勝目につながってくれたから、心の底で思ってることは(結果に)出るんだなと思いました」。会見でも、時折ニッコリとほほ笑むが、その口調はしっかりとして、22歳とは思えない落ち着きぶりだ。
姉の優利も理路整然とした語り口で、そこは姉妹であることを強く感じさせる。そして妹にとって姉は「尊敬する」という存在。「23歳でアメリカに行って、その若さで(日本で)4勝してメジャーを獲るというのは一流の選手だと思う」とも話す。その姉の勝利数に1つ近づいたことについて聞かれると、「勝利数で選手の価値が決まるのも分かるけど、私はメジャーなど勝つ大会にこだわりたい」と持論を語った。
3学年上の姉のことを、自ら話すことは少ないが、仲良し姉妹だ。姉が日本に帰国した際には姉妹で食事もともにするが、そこでも「アメリカでストレスを抱えていると思うので、私は聞き役です。日本にいる時くらいはリラックスしてもらいたい」と気づかう。
今週カナダで開催されている米ツアー「CPKC女子オープン」は3日目を終え、優利が2位で最終日を迎えた。首位の山下美夢有とは大差が開いているものの、まだ“姉妹同週V”の可能性も残している。
カナダの2日目が終わった後には、妹から『いい感じだね』とLINEでメッセージ。すると『たまにはね』という返事が返ってきた。「ひさびさにいい感じだと思うので、2人とも良ければうれしいですね」と日本からエールも送った。初優勝時には、姉からお祝いの一眼レフカメラも買ってもらっている。
『姉を越えたと思える時は?』という質問には、少し間を置いてから、こう答えた。「成績。勝利数ですかね。姉がアメリカでどれくらい活躍できるかもあるけど、引退する時にどれだけみなさんから拍手をもらえるか」。さらに会見の席では、「あまり公にしていないけど、あります」と、自身も米ツアー進出の気持ちがあることも明かす。
ただ、初優勝後の会見では、「姉のコピーはしたくない。自分のブランドを確立することが大事だと思っている」とも話していた。そして2勝目を手にした後には、「優勝してから私のプレースタイルを覚えてくれる人も増えたと思う。クールとか冷静って言われるし、その辺りですかね」という話も。実際、今やコースで、多くのギャラリーを集める選手のひとりになっており、吉田鈴という個性も、よく知られるようになった。
最終日の16番では、カップを越えたら下り傾斜が待ち受けていた左手前12メートルからのロングパットを決めて、優勝を手繰り寄せた。伸ばせなかった前半も、焦るそぶりは一切見せず、「AIG女子オープン」(全英)覇者で現在メルセデス・ランキング1位の桑木志帆や、昨季年間女王の佐久間朱莉ら、トップ選手たちとの争いを制した。
冷静なプレーぶりに加え、その強さも印象に残る勝ちっぷり。“自分のブランド確立”に大きく前進する1勝になったはずだ。(文・間宮輝憲)
