＜大王製紙エリエールレディスオープン 初日◇16日◇エリエールゴルフクラブ松山（愛媛県）◇6575ヤード・パー71＞
初々しい笑顔を浮かべながら「人生で初めてなんです」と、目を丸くする。16歳のアマチュア・藤本愛菜（沖学園高2年）が、大会初日の3番ホールでホールインワンを達成した。
記念すべきエース達成の瞬間は、しっかりその目で確認した。200ヤードのパー3で5番ユーティリティを握ると、会心のショットがピン目がけて飛んで行く。「カップ横に落ちてバックスピンで入ったのかなと思います」。ちょっぴり誇らしげに、その時の光景を伝えた。
ただ、達成の実感は湧かず、決まった瞬間も「驚きで」アクションをとることもできずに“硬直”。その後、同伴競技者の泉田琴菜、藤田光里にうながされるようにハイタッチを交わすという、フレッシュ感あふれるシーンになった。
16歳266日でのホールインワン達成は、1988年のツアー制度施行後、史上2番目の年少記録となった。その事実を教えられると、またもや「えー」と驚き、そしてすぐに「それはうれしいです」とニッコリだ。もともと指定外ホールで賞金などはかけられていなかったが、大会を主催する大王製紙株式会社が“ご厚意”の賞金10万円とエリエール商品を提供。このサプライズプレゼントの使い道を聞かれると、「貯めます！（笑）」と元気な答えが返ってきた。
ツアー出場3度目で起きた大きなできごと。この勢いを初の予選通過につなげたい。今年9月の国民体育大会（鹿児島県）では女子個人で優勝する実力派は、「全米（女子オープン）で優勝したいです。ずっとゴルフをやっていきたいので、いくつになってもツアーで活躍できる選手になれたらいいなと思います」と、その胸に大きな夢をつめてゴルフに打ち込んでいる。
初日は16番からの3ホールで2ボギーと、終盤に落として1アンダー・47位発進。「前半はいい流れでいけましたが、上がり3ホールで2つ落としてしまって、自分の弱みが出た一日だったかなと思います」と自己評価は厳しめだが、高校生にとってはかけがえのない思い出が残る日になった。2日目に3番を迎えた時は、「何かミスりそうで…。あまり考えないようにします」と、“謙虚”にティグラウンドに立つつもりだ。
同日には同じ3番で内田ことこもホールインワンを達成。過去に同一日、同一ホールでのエースは、1985年の「スタンレーレディス」で3人が達成したという記録も残っているが、非常に珍しい一日になった。（文・間宮輝憲）
【国内女子ツアー・年少ホールインワン】※1988年のツアー制度施行後
（1）15歳347日/伊波杏莉（2012年3月ダイキンオーキッドレディス 2R）
（2）16歳266日/藤本愛菜（2023年11月大王製紙エリエールレディス 1R）
（3）16歳314日/藤田光里（2011年8月meijiカップ 2R）
