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“天才”がぶつかったスイングの壁 金田久美子がコースで見せてきた努力の物語【辻にぃ見聞】

“天才”がぶつかったスイングの壁 金田久美子がコースで見せてきた努力の物語【辻にぃ見聞】

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2022年11月1日 11時30分

■武蔵丘で見せた“天才”の一面

では、2勝目をつかんだ今のスイングはどうなっているのか。辻村氏に説明してもらった。「ダウンスイングで右サイドが落ちることなく、水平なスイングになっています。インパクトから振り抜きにかけて、体の回転と同じ方向に腕も振れていますね。ポールポジションも身体の中心で構えてバランスのいいアドレスになり、しっかりとターゲット方向に押し込めている。フェースローテーションも少なく、『ジュニアスイング』から『近代スイング』に変わりましたね」。そして「今も模索している最中かもしれないけど、根性がすごい」という褒め方をする。

とはいえ、やはり“天才的”な部分も垣間見ることができたという。それが「元々すごい」というパッティングのタッチ。武蔵丘の大きな特徴に、傾斜の強いグリーンがあり、それは選手を一番苦しめる部分でもある。どこにカップが切られても強い傾斜。上からは本当に速く、サイドからはタッチとふくらませる感覚が合わなければすぐに3パットと、繊細なタッチが終始求められる。ただそこで見せた金田の「スピード感覚」は目を見張るものだったという。ちなみに3日間のパット数『28.0』は全体4位という好成績だ。

「自分がやってきたことができれば勝てるわけではなく、かみ合いがある。歯のかみ合わせと一緒。このタイミングが来るまで待つ根性がありましたね」。天才が見せてきたのは、諦めない姿だった。ここを辻村氏も一番に称賛する。

金田はプロになりたての頃のことを、「正直すぐに勝てると思ってましたし、賞金女王にもなりたいと思ってました」と振り返った。しかしすぐさま「そんなに甘くないし、自分の実力のなさも知った」と付け加える。そして、そのイメージと現実の誤差を埋めるように、ゴルフに向き合ってきた。

「状態が悪くなった時、諦めて帰ることができない。納得しないうちはやめることができない真面目な子ですから」(辻村氏)。“努力の天才”がようやく味わうことができた11年ぶりの歓喜。ここから、どんな物語を紡いでいくのだろうか。

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