だから、首位で迎えた最終日の朝の練習もサラリとしたものだった。キャディ兼コーチの大西翔太氏から次々にクラブを受け取り、打ち続けるその姿は流れ作業のようだった。もちろん、「トップで少し間を作る」などといった注意点はあるのだが、気にもとめていないかのよう。球数だって渡されたカゴにボールが余るほどしか打たない。それも結果を求めるがゆえ。
「実際に練習場で調子がいいと本番で悪いこともあったりするので、練習場で悪いものを出して、気を付けるポイントだけを持ってコースに出た方がいい。本番での一打のために、コースでやらないことを練習場でやったりしますね。あとは動作の確認だったり、ちょっと緊張している部分の確認とか、体をちょっと動かすっていうことだけをやっていました」
すべての動き、練習が勝利へと直結していなければ意味がないのだ。練習のための練習はいらないし、それでは疲労をためるだけ。練習場で自己満足に浸ることも時間の無駄だと言わんばかり。
そういった思考にたどり着けたのも、毎晩勝利のことだけを考えて“ざんげ”した結果だろう。手段と結果。混同しがちな二つを徹底的に見直して、試行錯誤を重ねた結果が3勝目へとつながった。(文・秋田義和)
