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悔し涙、悔し涙、のちうれし涙! 稲見萌寧が歓喜の流涕にたどり着くまで【2020-21年“涙のワケ”】

悔し涙、悔し涙、のちうれし涙! 稲見萌寧が歓喜の流涕にたどり着くまで【2020-21年“涙のワケ”】

配信日時:2021年12月13日 07時30分

ここからは悔し涙が続く。まずは6月の「宮里藍 サントリーレディス」。東京五輪代表争いが激化するなか、2位に4打差をつけて首位で最終日を迎えた。ここまでの3日間はノーボギー。先の明治安田生命を含めこの時すでに5勝を挙げており、誰もが「また稲見が勝つな」というムードだった。

しかし「アイアンショットが荒れた」と、最後に生命線に狂いが生じた。チャンスが来ないどころかボギーが2つと伸ばせず。1打ビハインドで迎えた最終18番で、「途中まで入ったと思った」という8メートルのバーディパットがわずかに外れると、ヒザから崩れ落ち、涙を流して感情をあらわにした。「単独トップで出て負けたのは初めて。自分のミスで負けたのが悔しい」。この敗戦はのちに何度も口にするなど、稲見にとって大きなものとなった。

ここから時は進み、同じく兵庫で行われた「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」。東京五輪に出場し銀メダルを獲得、メジャー制覇を経て女王争いが佳境に入ってきた10月のことだった。賞金総額2億円のビッグトーナメント、マネークイーンへは何としても上位に入りたい大会だ。

だが、発症した腰の痛みは日を経るごとに大きくなっていく。それでも首位と5打差のトータル4アンダー・10位タイで3日目を終えたが、ついに最終日に「朝起きたら動けなかった」とプレーできない状況に。コースを訪れ棄権を申し入れた時には、涙が止まらなかった。

そうして腰痛を抱えたまま賞金ランキング1位で迎えた最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。2人1組の2サムで回った初日に、女王争いのライバル・古江彩佳に目の前でコースレコードをたたき出されてしまい窮地に立たされるが、稲見も意地を見せて徐々に順位を上げるとライバルはその後伸ばせず停滞。先にホールアウトするとキャディも務めた奥嶋誠昭コーチとともに古江のプレーをモニターでチェック、女王戴冠が決まると8カ月ぶりのうれし涙を流した。

「泣くつもりはなかったんですけど、コーチに目の前で泣かれちゃうと…。こらえきれなかった」と照れ臭そうに理由を明かした稲見。戦いから解放されると、茶目っ気たっぷりに「メイクが落ちちゃった」と話したショットメーカーは長いシーズンを終えてようやく安どした。

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