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物は言いよう 大切なのはファンへの気遣い【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

物は言いよう 大切なのはファンへの気遣い【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2020年9月29日 19時00分

青空にはためくJLPGAの旗写真の下に、たったこれだけが書かれているのだ。これを掲載したのには理由もあるだろう。実際にこのようなことが起きたため、注意喚起する意味があったと予想されるが、いい方をかえるだけで印象はガラッと変わる。

よくよく読めば、いいたいことはわかる。サインをもらうという接触を伴う行為をされては感染リスクが上がる。会場付近での応援は、ウイルス感染拡大がなくとも近隣の迷惑だ。プロ野球でもJリーグでも、サインはしない、などの内容はガイドラインに書かれている。その上で、移動中にどうするか、などの頭を悩ませている。

感染リスクを抑えながら試合をしているのだから、協力してください、という呼びかけをするのはわかる。だが、この体裁と文面は、ファン心理をあまりにも置き去りにしているのではないだろうか。

ツアーそのものを深く応援しているファンなら、無観客になっている事情を理解し、感染者が出て試合が中止になるのを恐れるかもしれない。だが、少しでも有名プロを見たいという気持ちを持つファンだっている。詳しい事情を考えるより前に行動してしまい、ウェブサイトなど見もしないかもしれない。女子ツアー人気の中、ゴルフをほとんど知らなくても選手の顔だけ知っていれば、宿舎でサインを求めることもあるだろう。感染リスクを考えて断るのなら、選手がその場でそういえばいい。協会としてコメントを出すにしても、もっと上手ないい方があるだろう。杓子定規な文章と、無機質な旗の写真からは「わかってほしい」という姿勢が上手く伝わって来ない。

選手も試合会場以外で危険にさらされる可能性はあるし、それに対して注意喚起することはもちろんあっていい。安全が第一なのは当たり前だ。なにかがあってからでは遅いから、ファンにも協力してほしい。そんな切なる願いを上手く文面にして、発信すればよかったのではないか。

「物はいいよう」だ。ウイルス感染が全国に広まった頃、観光で売っているような県の首長が、東京など感染者の多いエリアの人に対して「今は来ないでください」と口にした。あれを聞いて「二度と行くもんか」と思った人はずいぶん多かったのではないか。

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