それでも“生の試合映像”に飢え始めた人は多かった。「試合が見たい」、「無観客でいいから早くやって」、「ネットだけでいいから試合流して」という声があふれた。
そんな風に多くのファンみんながライブの試合に飢えている最中に、ツアーが再開される(はず)。当面は、少なくとも無観客にはなるだろうが、パソコンやスマートフォン、テレビに釘づけになる人が多くなるのは容易に想像できる。まさにスポーツが持つ力の大きさが見られる機会でもある。
日常が理不尽に奪われる災害や戦争、今回のような疫病などに面した時、人は生きる力や勇気を与えてくれる拠り所を探したくなる。夢中になれる何か、感情移入できる相手…。“観るスポーツ”としてのゴルフも、その一つだ。待望される中、ツアーが再開された後も、その“力”が持続的に続くことこそ、ツアーがなすべきことだろう。人々に求められ、支えられること。
今回の新型コロナウイルス感染拡大と、それに伴うツアーの中断が、根本的にツアーの存在意義を考える機会となり、今後に生かすことができれば、その将来は明るいに違いない。逆に、それができず、内面だけに目が行くようでは、それまでのことになる。(文・小川淳子)