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下半身の動きから始めるからこその躍動感 渋野日向子は準備段階に“うまさ”あり【辻にぃスイング見聞】

下半身の動きから始めるからこその躍動感 渋野日向子は準備段階に“うまさ”あり【辻にぃスイング見聞】

配信日時:2019年12月30日 17時30分

手元を先に上げてしまうアマチュアは多くいるが、「渋野さんはテークバックでおなかがすでに右を向いているのに、ヘッドはアドレスの位置のまま。腹筋を使いながらクラブを上げるから、ヘッドがいちばん最後に動きます。ということは、クラブがむちのような動きをすることになります。体からいちばん遠い場所にあるヘッドに力が溜まる、これがタメになります」と、躍動感ある渋野のスイングを分析する。

「アドレスでヘッドの後ろに段ボールなどを置くとします。そこからテークバックするためには、腹筋を使わないといけません。手先だけで動かそうとしても、重いものは動きません。渋野さんは、まるでそこに重いものがあるかのようにテークバックしています。右の股関節がしっかりと入って下半身から動いているから、ヘッドに力が溜まるんです」。

そしてそんな渋野のスイングが可能になるのは、「朝の練習にあるのではないか」と辻村氏。「渋野さんは、まず練習場に来ると重いバットで左右のスイングをしっかりと行います。しっかりと足、下半身を使わないと重いバットは振れません。下半身主導のスイングをするための準備が、この練習時からできています」。体の動きを十分に確認することから始める。準備段階から理想のスイングづくりが始まっているという。

そして、下半身主導の動きは球の安定感を生み出す。「スイングが大狂いしない。重心移動の低さ、重心が低い人のスイングというのは、上半身でクラブを振っていません。下半身で常に上げて下ろす。下半身のリズムで打っています」。手でこねたりする動作がないため、大きな曲がりは生まれない。手元で合わせにいくのではなく、下半身を使いながら力を球に伝える。思い切りのいいスイングをすることがいかに大事かが、渋野のスイングから見て取れる。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくら、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。著書には『ゴルフ トッププロが信頼する! カリスマコーチが教える本当に強くなる基本』(河出書房新社)がある。

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