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鈴木愛と渋野日向子 暗闇で練習する2人を来年も見ていたい【記者の目】

鈴木愛と渋野日向子 暗闇で練習する2人を来年も見ていたい【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2019年12月3日 16時41分

渋野は連日最終組の1つ前の組からスタート。ホールアウトも夕方で、練習開始はその直後。ショット練習、アプローチ練習を行い最後のパッティングドリルに入るが、ちょうどそのタイミングで鈴木が現れるという構図に、関係者や我々報道陣も注目せざるを得なかった。

今回は出場人数も少なく、冬の始まりの季節で日没が早いという要素が重なってのことだったが、この2人はなにも今回に限って遅くまで練習しているわけではない。夏の陽が長い時間でも、雨が降っていても、そして真っ暗になるまで練習に明け暮れる姿をこれまで何度も目にしてきた。

国内ツアーの初優勝がメジャーという点を含め、2人にはいくつか共通点がある。クラブ契約もともにPING。今季は2人とも米ツアーで優勝を飾っている。これはたまたまだろうが、2人とも中四国出身。比べれば比べるほど、共通点が出てくる。圧倒的な練習量で努力を重ねるのはなにも2人だけではないが、ツアー会場での練習量というくくりでいえば、この2人がずば抜けているのは誰の目にも明らか。そんな2人が今季最終戦、最終日前夜に暗闇のなかで練習に暮れる姿に、見ていて、どこか喜びを覚えた。

プレー中の鈴木は、眼光鋭いまなざしでピンを狙う。近寄りがたい雰囲気を感じさせるすごみがあると同時に、プレーが終われば1人の等身大の女子に戻る。ケラケラと笑い、周囲とじゃれ合いながら、柔らかな時を過ごす。そして、日課となっている練習グリーンでの特訓。そんなギャップがおもしろく、いつしかその練習を見届けるのも、こちらの日課になっていた。

夕方は記者にとっては原稿を書かなければいけない時間帯で、もっとも忙しい。それでも、練習の内容をメモし、時間を計り、練習終了後に話しを聞き、クラブハウスを出る選手を見送る。そんなことが鈴木の取材では当たり前となっていった。だからといって、それが記事になるかというと、ほとんどがならない。それでも、プロ根性を見せる鈴木の練習を見るのは、楽しみだった。

昨年あたりからケガの影響などもあり、遅くまで練習を続ける鈴木の姿を見ることは減った。それが怒濤の3連勝で2度目の賞金女王が見えた終盤で、再びその姿が練習グリーンに戻った。寒さが増していく中で、湯気が立っているのではないかと思うような意地のパッティング練習。“努力は裏切らない”を体現するこの姿が、2度目の栄冠に結びついたといっても過言ではない。

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