「プロになって父の夢をかなえたい」という気持ちは大きく揺らぎ、父に“辞めたい”とも伝えた。しかし『ここまでやってきたんだし、もしダメだったとしても、やれるところまでやろう』という励ましも受け、「1回だけ」の受験を決意。「どうせ1回なら後悔のないように」と、ここからゴルフに没頭した。すると2017年7月の最終プロテストを12位タイで通過。しかし、ここでも目をつぶってカップに流し込む姿は変わらなかった。
昨年から取り組むクロウグリップも、この解消を目指してのもの。今も常に「不安」との戦いは続いている。好発進しても失速する試合が続いたこともあり、「ゴルフが好きじゃない」という思いも頭の片隅にあるという。そんななかつかんだのが、今回の優勝だった。
「(優勝までは)むちゃくちゃ早かったです。今年は賞金シードが目標で、もしQTがダメでも来年ステップ・アップ・ツアーでやればいい、と思っていたくらいでした」。しかし、この1勝で「自分のゴルフでも試合で通用すると感じられた」と大きな自信も得た。「2勝目が難しいと言われるので、早くもう1勝したい」。苦しんだ日々を乗り越えた先に見た大きな光。それが、21歳の今後のゴルフ人生を照らしていく。(文・間宮輝憲)
